ニット帽はどこにしまったっけ? カサカサの唇に効くリップバームはどれ? 風邪予防に食べるといいものは? 11月にもなり寒さが本格化し始めると、私たちはこんなことを考えるようになる。

そう、冬は風邪やインフルエンザの季節! ウイルスを避けることは、多くの人にとっての優先事項(風邪を引いてクリスマスパーティーを逃すわけにもいかないからね)。そこでみんなに大事な情報を届けよう。それは、あなたが日々食べたり飲んだりするものが、免疫系の健康にダイレクトに影響を与えているということ。

でも、免疫を上げる食べものが実際に何なのか気になるよね? そこで今回は、イギリス版ウィメンズヘルスが栄養士のソフィー・メドリンに免疫と食事について話を聞いてみた。風邪を引かないために食べるべきものとは? 私たちの食事が免疫の健康維持にどんな役割を果たしているの? 今のうちに知識をつけて、今年の冬を元気に楽しもう!

なぜ、免疫システムに栄養が重要なの?

メドリンによれば免疫システムは複雑で、睡眠、運動、ストレス、とくに栄養など、さまざまな要因に影響を受けている。「免疫システムは感染と戦っているときにこそ、より多くの栄養を利用します。ビタミンCや亜鉛などの栄養素は、免疫細胞が機能するために不可欠だからです」

「病気と戦ってくれるような“スーパーフード”はありませんが、私たちが体に取り入れるものはまさに健康の土台であり、植物を豊富に含んだ多様性に富むバランスのとれた食事は、体全身の細胞機能に対し重要な役割を果たします。免疫細胞の70%が腸内に存在していることからもわかるように、腸内細菌叢の健康と多様性は、免疫システムの健康を決定付けると言えるほど非常に肝要な要素の一つなのです」

食べもので免疫力を高めるには?

healthy selection of vegetables
Sam Barnes//Getty Images

メドリンによると、適切なビタミンとミネラルの摂取が私たちの免疫システムをさまざまな方法でサポートしてくれる。「抗酸化物質として健康な細胞を保護したり、免疫細胞の成長と活性化を促して抗体の生成を助長したりしてくれます」

前述したように、腸内細菌叢は免疫細胞の活性化を刺激することにより、免疫機能に重要な役割を果たしている。「これらの有益な腸内細菌の成長と維持に必要なのは、果物や野菜、全粒穀物から多様なビタミンとミネラルを摂取することです」

※免疫系において重要な栄養素には、亜鉛、ビタミンC、ビタミンD、セレン、鉄、タンパク質などがある。

とはいえ、現代の私たちの多忙な生活スタイルでは、便利な食品に頼りがちで食事からすべての必要な栄養素を摂取するのがますます難しくなっている。「ストレスや不安を抱えているときもまた、食事を疎かにしがちです。これが、体をさらに弱らせます」とメドリンは指摘している。

「良質なサプリメントやプロバイオティクスを摂ることは、食生活が一時的に乱れてしまった場合でも、免疫システムが必要とする栄養素を常に利用できる状態にすることができます。とは言っても、サプリメントで栄養を補い、こうして風邪に関する記事を書いている私でさえも風邪を引くことはあります。ときにはどれほど栄養に気を配っていても、体や心が疲れ果てるとウイルスに感染することはあるので、あまり自分を責めないでくださいね」

サプリメントを免疫向上に役立てるには?

「食事対サプリメント」に関する質問をよく受けるメドリンは、「食事かサプリメントのいずれかを選択しなければならないように考えられがちですが、食事とサプリメントの実際の関係は微妙なニュアンスを持ちます。というのも、まずは多様性に富むバランスのとれた食事を始めることが栄養の健康の基盤であり、すべての栄養素を食事から摂れることが一番理想です」とメドリン。

でも、現代の多忙な生活スタイルでは、ときに自分がなにを食べているのか把握するのも、適切な量の野菜や全粒穀物を組み合わせて食べることも難しいのが正直なところ。

「環境要因も考慮に入れるべきです」とメドリン。「研究によると、空気の質や大気汚染の悪化は私たちの栄養所要量を増加させます。腸内環境がよくない場合も同じです。そのうえ、何十年にもわたる集約的な工場農業が土壌の栄養分を枯渇させています。つまりこれは、私たちが栽培している食べものに含まれる栄養の質が以前より落ちていることを意味し、食事だけで必要な栄養素を十分に摂取することがますます難しくなっているのです。カフェインとアルコールもまた、体内に貯蔵された栄養素を減少させることがわかっています」

食事だけではすべての栄養素を摂ることが難しい場合、サプリメントはその不足分を補い、免疫システムが必要とするビタミンやミネラルを確実に得るための便利で簡単かつ効果的な手段とされている。

サプリメントで過剰摂取になることはないの?

woman taking vitamins and supplements
Maria Korneeva//Getty Images

メドリンいわく、サプリメントを選ぶ際には必ず含有量を確認し、いずれも安全な上限値(SUL)を超えないようにすること。「原材料(微量栄養素を含む実際の化合物)が高品質であり高い効果を有するものかどうかを確認してください。可能な限り、生物学的に利用可能な活性型(体の中で働ける形)の栄養素のサプリメントを探してみるのがいいでしょう」

でも、特定の栄養素が不足していない限り、サプリメントの服用が有害無益になることはないのかな?

「栄養を摂り過ぎてしまう可能性はあります」とメドリン。「パンデミックの期間中はビタミンCやDを“大量に”摂取している人を多く見てきました。そうすると、体がこれらの栄養素を処理して体外へ排出するために一生懸命働かなくてはならなくたるため逆効果になります」

「ビタミンB群や水溶性の栄養素の中には、害になることなく体は必要な分だけを吸収できるものもありますが、ビタミンD、ビタミンA、ビタミンEなど、一部の栄養素は体内に蓄積されて、害を引き起こす恐れもあります」

免疫力を高めるのに最適な食べものとは?

ここからは、自然免疫にとくに有益に作用することが科学的に証明されている9つの栄養素を紹介していこう。どの栄養素も下記の食品リストから摂ることができる(もちろんサプリメントからも!)

1. ビタミンA

ビタミンAには抗炎症作用があり、抗体の産生を促進して免疫系を強めてくれる。

ビタミンAの優れた供給源:

  • チーズ
  • 赤と黄色の野菜
  • 緑の葉物野菜

2.  ビタミンB6

chickpea stew with ingredients in background on table
Cavan Images//Getty Images

ビタミンB群は細胞機能をサポートすることで、健康な免疫系の維持を助ける働きがある。

ビタミンB6の優れた供給源:

  • ひよこ豆
  • 脂身のある魚
  • ジャガイモ
  • 鶏の胸肉

3.  葉酸
葉酸(人工化合物)や葉酸塩(野菜や果物に含まれている)としても知られるビタミンB9もまた、正常な免疫機能を保つうえで必要な栄養素。

ビタミンB9は以下のような食品から摂取できる:

  • レバー
  • ほうれん草
  • アスパラガス

4.  ビタミンB12

次はビタミンB12。必要なのは少量のビタミンB12で、次のような食品に含まれる:

  • 甲殻類
  • 牛肉
  • 牛乳

5.  ビタミンC

免疫力を高めるビタミンとしてもっとも有名なのが、ビタミンC。ビタミンCは抗酸化物質であり、炎症の原因となる毒素から体を守ってくれる。

ビタミンCの優れた供給源:

  • 柑橘類
  • パプリカ
  • ブロッコリー
  • 芽キャベツ

6.  ビタミンD

日光からビタミンDを得られるのは確かだけれど、冬になると日光を十分に浴びられる機会がほとんどなくなるため、イギリスの国民保険サービス(NHS)は、冬の間の日光不足を補うために、すべての人にビタミンDのサプリメントを摂るように推奨している。

ビタミンDを含む食品:

  • ビタミンDが強化された卵
  • 紫外線照射したキノコ類
  • 魚の缶詰

ただし、これらの食品に含まれるビタミンDの含有量は非常に少ないので、長期的で実用的な供給源でないことを覚えておこう。

7.  鉄

鉄は赤血球のためのものだと思っている人が多いけれど、健康な免疫系を維持するためにも欠かせない栄養素。鉄分の摂取量を満たすとなると多くの人が赤身肉を真っ先に思い浮かべるが、実際には以下のような植物由来の食材からも鉄を摂取することができる:

  • 豆類
  • 豆腐

8.  セレン

セレンは体が毒素を排除する能力を妨げる酸化ストレスから免疫細胞を守ることで、免疫システムの健康な機能を支えるという重要な役割を果たしている。セレンを多く含む食品はあまり多くはないけれど、その中でもベストな供給源は以下の食品:

  • ブラジルナッツ
  • イワシ
  • 海老

9.  亜鉛

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体全体の多くの機能をサポートする亜鉛は、特定の免疫細胞の再生と修復に重要な役割を果たしている。さらに亜鉛は、認知機能や受胎能力、生殖機能など、その他の身体機能にも非常に重要な栄養素。

亜鉛の優秀な供給源:

  • 牡蠣
  • かぼちゃの種
  • チーズ
  • レンズ豆
     
    ※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

    Text: ALICE BARRACLOUGH Translation : Yukie Kawabata
Headshot of Alice Barraclough
Alice Barraclough
Nutrition Editor

With nearly a decade of journalistic experience – in print, online and social – at national newspapers and lifestyle magazines, it’s fair to say Alice has tried it all when it comes to health and fitness. From packing herself off to an extreme Aveduric retreat in Sri Lanka and sweat-testing every new fitness fad to running the London Marathon and completing a 70.3 IronMan, Alice now looks after WH’s food content. With a ‘food first’ ethos, she is here to help you decipher exactly which foods will support your health, and which macro-counting, pasta-replacing, intermittent-fasting, 13-day cleanse is just, well, a scam. A keen baker and host, her favourite dessert has to be pavlova (with lots of summer berries and whipped cream, of course).

Headshot of 川畑 幸絵

短大卒業後バンクーバー、メルボルンで2年留学した後、外資系客室乗務員として勤務。2018年に退職後、翻訳者としてフリーランスに転身。アメリカで統合栄養学を学んだ経験もあり。