経験者なら痛いほどわかる、アレルギーのつらさ。朝のランニングや愛犬と散歩する有意義な時間が、とにかく不快でイライラするものに変わるくらいなのだから。

花々が満開に咲く春も過ぎて安心していたかもしれないけれど、実は秋も同様に、悲惨なアレルギー症状が出やすい時期。

米国アレルギー・喘息・免疫学会によると、春のアレルギー患者の2/3以上が、1年を通して何かしらの症状を経験している。要するに、早春から鼻水やくしゃみが出ていたなら、これらの症状は秋を通して(あえて言うならその先も)続く可能性があるということ。アメリカ版ウィメンズヘルスから詳しくみていこう。

秋のアレルギーの原因とは?

秋のアレルギーの主な違いは、ブタクサの花粉など、秋(厳密には8月下旬からあなたの住む地域に冬の霜が降りるまでの期間)にのみ空気中に浮遊する刺激物の違いにあると説明するのは、アレルギー&喘息ネットワークのアレルギー免疫学者、パーヴィ・パリーク医学博士。

また、枯葉が落ちるこの時期は、多くのカビが空気中に存在し、カビは落ち葉の山にも繁殖しやすい。

秋のアレルギー症状とは?

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Carol Yepes//Getty Images

秋のアレルギー症状は他の季節のアレルギー症状とほぼ同じ。注意すべき症状は以下のとおり。


パリーク医学博士いわく、アレルギーによる咳は痰を伴わず、乾いた咳が出る。咳で夜中に目が覚めたり、咳でなかなか眠れない場合はアレルギー性の喘息を発症している可能性があるため、専門医の診察を受ける必要がある。

目がかゆい/涙が出る

両目とも影響を受け、腫れたり、充血で目の下の皮膚が黒ずんだりする。

鼻症状

鼻づまりや鼻水、くしゃみ、鼻のかゆみが現れる。

喉の痛み

鼻水が喉に流れることで、鼻水が喉に詰まるような症状(後鼻漏)を起こしたり、喉に痛みやかゆみが現れる。

皮膚の炎症

秋のアレルゲンは皮膚を刺激するため、湿疹や蕁麻疹のようなかゆみを伴う発疹を引き起こす。

耳の炎症

耳詰まり、耳の痛みやかゆみは、秋のアレルギーでよくみられる一般的な症状。

呼吸障害

「もっとも一般的な喘息がアレルギー性の喘息だということに、多くの人が気づいていません」とパリーク医学博士。「咳、喘鳴、息切れ、胸痛、胸部圧迫感などの症状がある場合はアレルギー性喘息の可能性が高いので、できるだけ早く病院で診察を受けてください」

秋のアレルギーはどうやって診断されるの?

適切な治療をするためだけでなく、なににアレルギー反応を起こしているか、他の病気が隠れてはいないかを明確にするためにも、アレルギー専門医の診察を受けることが要になる。市販薬が効かない場合にも、処方薬を処方してもらうこともできるから。

個々のアレルゲンに対する抗体を調べるために、アレルギー専門医はプリックテスト(皮膚アレルギー検査)かIgE抗体検査(免疫グロブリンE)と呼ばれる血液検査のいずれかを行うのが一般的。

咳の原因が喘息か後鼻漏なのか、それとも他に原因があるのかどうかを調べる呼吸検査が行われることもある。

「実際のところ、信頼性の低い検査が数多く存在しています。本当はアレルギーでないのにアレルギーと診断されては困るので、必ずアレルギー専門医か免疫学医を受診するようにしてください」とパリーク医学博士。

秋のアレルギー症状に最適な治療法とは?

woman using a nasal spray
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抗ヒスタミンの目薬、錠剤、鼻スプレー:これらは、目や鼻の症状に有効な治療となるオプション。ほとんどの場合は、鼻ステロイドと鼻抗ヒスタミン薬がもっとも効果的。

鼻内コルチコステロイド:鼻の腫れを軽減し、詰まりのような症状に対処するための薬で、アメリカ喘息およびアレルギー財団は、これを「鼻のアレルギー症状にもっとも効果的な薬」と公言している。

処方吸入器:アレルギー性の喘息の場合は、症状を和らげるのに役立つ吸入器を処方できるアレルギー専門医を受診する価値がある。

処方箋が必要な塗り薬:皮膚に発疹やかゆみがある場合は、症状の程度に応じて発疹を治療できるさまざまな市販薬や、処方箋が必要なコルチコステロイドクリームが利用できる。

アレルゲン免疫療法

時間の経過とともにアレルギーを減少させ、症状を最小限に抑えるための最善な治療法とされるアレルゲン免疫療法。病因アレルゲンを投与していくことで、長期にわたって免疫系を鍛え、症状をおさえたり和らげたりすることが可能になる。これには、皮下に注射するか、舌の下に錠剤を置いて治療するいずれかの方法があり、あなたにとって適切な治療法を医師が提案してくれるはず。

また、アフリンのようなオキシメタゾリン治療薬は避けるようにパリーク医学博士は勧めている。実際に鼻詰まりが悪化したり、他の副作用を引き起こす恐れがあるそう。

自分で秋のアレルギーに対処する方法は?

woman blowing her nose
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医師に勧められたアレルギー治療薬を服用することに加えて、絶えず症状を引き起こさないようにアレルゲンに晒される機会を極力減らすこと。そのために日々実践できる効果的なアドバイスをいくつか紹介しよう。

花粉飛散のピーク時は外出を避ける

早朝は、花粉濃度がもっとも高くなる。外に出てアレルギー症状が出やすい傾向になるなら、午後の遅い時間帯や夕方以降の外出が望ましい。

窓を閉めておく

家の中に花粉を入れないため。さらにエアコンを「内気循環モード」に保つことで、花粉やその他のアレルゲンを吸い込む量を減らすことができ、よりラクに呼吸しやすくなる。

帰宅後はすぐに着替えてシャワーを浴びる

体に付着した花粉を洗い流すことで、症状が悪化するリスクを減らせる。

空気清浄機を試してみる

室内アレルギーがある場合は、カビやペットの毛くずにも対応できるHEPAフィルターの空気清浄機を試す価値がある(花粉やダニは小さすぎて通常のフィルターでは取り除けないから)。ダニに関しては、防ダニ布団カバーを使用したり、頻繁に掃除機をかけたり、可能であればカーペットの使用をやめるという選択肢もかなり有力。

炎症を抑える

食事も大きく関係している。アルコールや加工食品は体内の炎症が増加してアレルギー症状を悪化させる可能性があるため、パリーク医学博士が言うように、摂取量を極力減らし、適度に食べることである程度の緩和が得られるかもしれない。

アレルギーの有症率に地域差はある?

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あいにく、住んでいる地域の空気質における対策の影響は大きいため、特定の地域ではとくにアレルギーに悩まされる可能性が高くなるのは事実。

また、遺伝的な要素も関係しており、あなたがアレルギーを発症した場合は50%の確率であなたの子どももアレルギーを発症する傾向にある。そのため、パリーク医学博士いわく、喘息やアレルギーの発症率が高い地域ではそれを子どもが代々受け継ぎ、アレルギー発症率の増加につながっているそう。
 
※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: EMILIA BENTON Translation : Yukie Kawabata



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Emilia Benton
Contributing Writer

Emilia Benton is a Houston-based freelance writer and editor. In addition to Runner's World, she has contributed health, fitness and wellness content to Women's Health, SELF, Prevention, Healthline, and the Houston Chronicle, among other publications. She is also an 11-time marathoner, a USATF Level 1-certified running coach, and an avid traveler.

Headshot of 川畑 幸絵

短大卒業後バンクーバー、メルボルンで2年留学した後、外資系客室乗務員として勤務。2018年に退職後、翻訳者としてフリーランスに転身。アメリカで統合栄養学を学んだ経験もあり。