吸収型サニタリーショーツのブランド「Period.」の代表である寺尾彩加さんによる連載、今回は最近社会問題として注目されている、生理貧困や生理用品への各国の対応について。

ここ最近、日本においての「生理の貧困」問題についてをメディアで目にする機会が増えました。他国では既に生理用品に関する税率をはじめとし、無料提供などの施策が近年多く行われています。今回は海外での事例をはじめ、日本で開始された生理用品に関する公共の取り組みをご紹介します。

生理用品が無料提供されている国

以前の連載でも触れたことがありますが、スコットランドでは2020年の11月に世界で初めて生理用品を無償提供する法案が可決されました。この法案は学校を含む公共施設において生理用品を無料で提供するというものです。これにより生理用品を必要とする全ての人が使うことが可能になりました。

また、ニュージーランドは2021年6月より「生理の貧困対策」として全ての学校で生理用品を無料配布することが決まっています。さらにフランスでも2021年2月に大学生に対して生理用品を無料で配布することが発表されました。

他にもイングランドの全ての小中学校に無料提供制度が導入され、アメリカの一部の州でも学校での生理用品の無料提供を義務付ける法案が成立しています。

生理用品の税率の撤廃と減税

2019年のカンヌライオンPR部門でグランプリを受賞し話題となったドイツの「タンポンブック」。本の税率は日用品の7%なのに、タンポンの税率がぜいたく品と位置付けられている19%であることを訴えるために発行されました。以前からドイツにおいての生理用品の税率については議論されていましたが、この本により多くの人からの声や注目が集まったことで、2020年より7%に減税されました。

最近では、今年1月にイギリスがEUから離脱したことをもあり、生理用品に課されていた5%の税を廃止。オーストラリアは2018年に生理用品を商品サービス税の課税から除外することを決定し、同年にはインドにおいても生理用品に課税されている12%の税を撤廃することが発表されています。

まった、アメリカの12州をはじめ、ケニヤやカナダ、コロンビア、マレーシア、ニカラグア、ジャマイカ、ナイジェリア、ウガンダ、レバノン、トリニダード・トバゴなどが生理用品の税金撤廃や減税を行っています。

日本でもはじまった、無料提供をする自治体

日本でも今までタブーとされてきた「生理」についてが話しやすい雰囲気になった事から、今まで上がりにくかった生理の問題について、少しづつ取り上げられるようになりました。さらに、新型コロナウイルスの影響による経済的な理由で、生理用品にアクセスができなくなった人が増えている事が浮かび上がりました。それに伴い先月から生理用品を無料提供する自治体が増えはじめています。

兵庫県の明石市は公共施設や市内の学校で生理用品の無料提供を開始しました。また、東京都では防災備蓄用の生理用品を豊島区が今年の3月に必要とする全ての人に配布を実施。その後に足立区や北区、中野区が続きました。また、多摩市では市内の小中学校全26校の女子トイレに置いて配布する取り組みを始めました。

私が最初に無料の生理用品と出会ったのは2018年頃のLA、訪れたコワーキングスペースのお手洗いに設置された大きなビンの中に大量のタンポンが準備されていて、驚いたのと同時にとても便利だなと思いました。その光景を見たときに、何故ほとんどの女性用トイレにはトイレットペーパーやサニタリーボックスが備え付けられているのに、生理用品は置かれていないのだろうかという疑問が浮かびました。トイレットペーパーだけではなく、生理用品も私たちの生活には欠かせないアイテムであるのに。

今回ご紹介した各国のケースはここ近年での法の可決や発表、施策が行われていますが、これらの問題の解決に向けた活動はもっと前から行われていた事が、リサーチをする中で分かりました。なので、日本の自治体の取り組みの開始は他国に比べてたら早い方なのではと感じました。今後どのように変化していくのか引き続きチェックしてみてくださいね。