吸収型サニタリーショーツのブランド「Period.」の代表である寺尾彩加さんによる連載、今回は寺尾さん自身が近々挑戦しようとしている、卵子凍結について。

 ウィメンズヘルスのイベントでもお話させていただいて以来、友人をはじめ多くの方に「興味がある」と言われるようになった卵子凍結。私は今年27歳になるので、卵子凍結を考えている最中です。今回は卵子凍結という選択肢についてお話していこうと思います。

なぜ、卵子凍結をしようと考えたのか

 私が卵子凍結に興味を持ったのは2年前ぐらいに読んだとある記事がきっかけです。アメリカでは卵子凍結をする人が増えており、25歳の誕生日プレゼントとして、自分でやる若者がいること、卵子凍結をどこで受けるかを考える際に役立つ口コミサイトがあることを知りました。当時、私は卵子凍結はもっと年齢が上の人、30歳以上の方が行うイメージがあり、20代の私たちが考えることではないと思っていました。

 しかし、明確に年齢は記載されていませんが、卵子凍結を行うのに適した年齢は26歳頃〜36歳程度であることを知り、先の話ではないことに気づかされました。また、自分でブランドを立ち上げ今は仕事に奔走しているなか、結婚や出産についてはついつい考えが後回しになり、30歳ぐらいになったらできたら良いなという、プライベートはなんとなくのイメージしか持てていないのも要因ではあります。

 また、自分の身体の仕組みについて知っていくなかで、ますます今を大切にしなくてはいけないと痛感したことも、積極的に考えはじめた一つの理由です。

年齢と同じで卵子の老化も止められない

 卵子の元になる卵母細胞を出生時は200万個持っています。年齢を重ねるうちに減っていき、初潮が始まる年齢では約30万個、25歳頃には約10万個に減少していきます。37歳をすぎると急激に減少していき、約1,000個以下になると閉経すると言われています。

 皆さんご存知のように、私はピルを服用しているので子宮や卵巣は通常の生理のある方に比べて休ませている状態です。毎月排卵はしていないので、その数を温存できているんだと思っていたのですが、それは大きな間違い。排卵していなくても自然と毎月決まった数は消滅していくのです。なので、今の年齢で持っている卵子を温存することはできません。

 また、出生する前から持っている細胞なので、卵子も私たちと同じように年を取っていきます。この加齢が卵の染色体異常や受精後の胚発育の悪化につながり、妊娠率の低下や流産率の上昇の原因になるのです。

年齢をストップすることはできないが、
卵子は凍結して保存できる

 私たちは生きているこの時を止めることはできませんが、卵子は取り出して保存をすることができるので、今の年齢の卵子を残しておく方法が卵子凍結です。もちろん、凍結保存しておけば卵子は年を取りませんが、我々の身体は引き続き年を取っていくので、凍結したからいつでも産めるようになる訳ではありません。

 推奨される卵子凍結後の出産年齢は30代のうち、遅くても45歳までが胎児の死亡率との関係から良いとされています。ちなみに、20代〜30代と45歳以上の胎児の死亡率は5〜6倍に増えると言われています。

 また、女性の卵子だけではなく男性の精子も毎日作られるものではありますが、加齢と共に老化していくものなので、精子凍結をしておくことも有効です。結婚されている方やパートナーがいる方は受精卵の凍結もできるので、今は子供を持つタイミングではないけれど、数年後にはというプランがある際は、選択肢として考えてみると将来の可能性が広がりそうです。


※東京都は健康な女性などが卵子の凍結保存を行う際の支援策をとりまとめ、最大30万円を助成することに方針を決めた。(2023年9月15日更新)