多くの人が一度は経験する肌の悩み、ニキビ。米国皮膚科学会は、米国で最も一般的な皮膚疾患としてニキビを挙げ、毎年約5000万人がその影響を受けていると発表した。一般的に、ニキビが出始めるのは思春期の頃。ホルモンの働きが活発になり、皮脂腺が過剰に反応することが原因だ。とはいえ、ニキビは何歳になっても出てくるもの。特にストレスや不安を感じている時に現れる場合、それらはストレスニキビに分類される。

ここで、皮膚科専門医のレベッカ・マーカス医師(テキサス州にあるノースダラス・ダーマトロジー・アソシエイツ)、スーザン・マシック医師(オハイオ州立大学ウェクスナー・メディカル・センター)、アニー・ゴンザレス医師(マイアミにあるリバーチェイス皮膚科)が、ストレスニキビの原因、他のニキビとの違い、予防・治療法を解説。専門家のアドバイスは以下の通り。

ストレスニキビの原因は?

ストレスはニキビの一因となり得るが、直接的な原因ではない。他のニキビと同様に、ストレスニキビもホルモンの変化に伴い皮脂の分泌量が増えることが原因となる。

「ストレスがかかると、体内ではコルチゾールと呼ばれるストレスホルモンが多く分泌されます。コルチゾール値が高くなると皮脂の分泌も増え、炎症や毛穴の詰まり、肌荒れなどの連鎖を引き起こします」とマシック医師は説明する。

また、ニキビには性ホルモンのアンドロゲン値の上昇も関連しているという。「コルチゾールとアンドロゲンが皮脂腺に働きかけて皮脂の分泌を増やすため、ニキビが増える原因になります」とマーカス医師。

ストレスニキビは、ニキビができやすい体質の人ほど出やすく、何度も繰り返すこともあり、「悪化していきます」とマーカス医師は説明する。精神的に辛い状況でニキビができやすくなることは研究結果でも示されており、「ストレスニキビに関する研究は、受験生のようにストレスの多い時期を過ごしている人を対象に行われ、その時期にニキビが増えるかどうかを調べた研究もあります」とマーカス医師。

2003年、大学生22名(女性15名・男性7名)を対象に行った研究では、試験中のストレスレベルの高さとニキビの重症度の関係について調査された。研究参加者は、すでにニキビができていること、そのニキビがLeeds scale(ニキビをの重症度を測る方法)で0.5以上であることが条件だった。「ニキビのある人は、試験期間で悪化することがあります。さらに、ニキビの重症度の変化はストレスの増加と相関関係にあり、外的要因による精神的ストレスは、ニキビに大きな影響を与える可能性があります」

ストレスニキビは他のニキビとどう違う?

「ストレスニキビはホルモン性ニキビの一種ですが、事情は少し異なります」とマシック医師。「ストレスニキビはコルチゾール値に関係しますが、一方で思春期にできるニキビは、女性は月経周期、男性はテストステロン(男性ホルモン)のレベルに関係しています」

ストレスニキビと生理中のニキビは見た目に大きな違いはないが、その兆候はニキビのできる場所に現れることがある。「一般的に、ストレスニキビはTゾーンなど、皮脂腺が密集している場所に現れます」とマーカス医師。「そのため、生理中のホルモン性ニキビがアゴ周りにできやすい一方で、ストレスニキビは額や鼻にできやすい傾向にあります」

また、毛穴の大きさもストレスニキビの目印になるかもしれない。「皮脂腺の多いエリアで毛穴が少し大きく見えるとか、その部分がテカって見えるということもあると思います」とマーカス医師は説明する。「それは皮脂腺が過剰に反応していることのヒントになるでしょう」

もう一つの指標は、ニキビの数。「ストレスニキビは通常、一度に複数できやすい性質があり、皮脂腺の多い場所に複数のニキビができることが多いでしょう」とマシック医師は述べている。

ストレスニキビの予防・治療法

ストレスニキビのケアは、基本的に他タイプのニキビと同じ。「ストレスニキビは皮脂の分泌量増加によるオイリースキンの肌荒れに関連しており、一般的な10代のニキビと同じように治療することができます」とマシック医師。「一般的なニキビと同様に、ストレスニキビも改善することができますが、それには時間がかる場合があり、あなたの思っている通りにはならないかもしれません(一朝一夕に考えず、数週間を目安に考えること)」

ここで、そのための重要なステップをご紹介。

ストレスマネジメントを心がける

ストレスレベルを調整することで、ストレスによるニキビを抑えることができる。日常生活における全てのストレス要因を取り除くことは不可能に近いが、ストレス要因を減らすためにできることはある。ゴンザレス医師とマシック医師は、コルチゾール値を下げることができるエクササイズ、ヨガ、瞑想などのリラックス方法を提案している。

マシック医師とマーカス医師は、有効的な行動パターンについて言及。「十分な睡眠をとり、水をたくさん飲み、糖分や炎症を起こす食べ物は控えましょう」とマーカス医師。

そして、どんなに忙しくても決めたスキンケアの習慣を続けることが大切。「良質な洗顔料から始め、保湿し、日焼け止めを塗るというシンプルなスキンケアを一貫して続けることです」とマシック医師は助言する。

皮脂の分泌を抑える

マシック医師が推奨するのは、1日に2回、特にサリチル酸や過酸化ベンゾイル配合の洗顔料を使用すること。これらの化合物は皮脂の分泌を減少させ、毛穴の詰まりを解消する効果がある。

サリチル酸や過酸化ベンゾイル配合の製品を選ぶとき、大切なのは自分の肌質を考慮すること。敏感肌や乾燥肌の人は成分濃度が優しい製品を選ぶのがベター。また、脂性肌の人はサリチル酸配合の洗顔料を使うのが効果的なこともあるという。

β-ヒドロキシ酸(BHA)とα-ヒドロキシ酸(AHA)は、敏感肌以外の人には角質ケアとして効果的。「β-ヒドロキシ酸(サリチル酸)は、皮脂を分解してくれます。α-ヒドロキシ酸(グリコール酸など)は、古い角質をはがれやすくしてターンオーバーを促します」とマーカス医師は説明する。「これにより、肌のたるみや毛穴の詰まりを防ぐことができるのです」

レチノイド製品にトライ

レチノイドは、皮脂腺を正常化し、皮脂の分泌を調整してニキビの改善へと導く。「また、毛穴をクリアに保ち、肌細胞のターンオーバーを助けます」とマーカス医師は述べている。

マーカス医師によれば、レチノイドはどの肌タイプにも使えるが、皮膚の厚い人はより高濃度のものを、敏感肌の人はより優しい製品を使用した方が良いとのこと。

「週に1、2回から始めて、様子を見て徐々に増やしていきましょう」とマシック医師はアドバイスする。

毎日、保湿を

サリチル酸や過酸化ベンゾイルなどの成分は、肌を乾燥させてしまうこともあるため、日常的には軽めの保湿剤を使うことが大切。

顔に触れないようにする

「肌を掻きむしるとカサブタにつながり、カサブタは肌の変色につながったり、傷跡が残る可能性もあります」とマシック医師は警告する。

ニキビパッチは、ニキビに触れることや毛穴詰まりを防ぐ効果がある。「患者さんの中にはニキビを悪化させ、その跡が長く残ってしまう方も少なくありません」とマーカス医師。「ニキビに触れないためにもニキビパッチの使用を強く勧めています」

ナイアシンアミドを使う

ナイアシンアミドは抗炎症作用のある抗酸化物質で、赤みを抑え、毛穴の開きを改善し、皮脂の分泌をコントロールし、肌のバリア機能をサポートする。マーカス医師によると、「効果が出始めるスイートスポットは濃度3 %からで、5%以上だとヒリヒリする可能性があります」

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

Translation: Ai Ono From seventeen

From: Harper's BAZAAR JP
Headshot of Leah Campano
Leah Campano
Associate Editor

Leah Campano is an Associate Editor at Seventeen, where she covers pop culture, entertainment news, health, and politics. On the weekends, you can probably find her watching marathons of vintage Real Housewives episodes or searching for New York City’s best almond croissants.