パートナーのことを愛していても、一つ屋根の下でともに暮らす中で訪れる試練や苦難は決して少なくない。中でも、ベットを共にすることを考えると、思わずため息をついてしまう人もいるのでは?そう考えると、TikTokで「スカンジナビア睡眠法」が話題になっていることにも納得できる。この睡眠法は、多くの人の睡眠習慣に禅の境地を取り戻しただけでなく、カップルの関係性の修復にも役立っているんだとか。パートナーの隣で眠るのが辛いとお悩みのあなたは、ぜひ参考にしてみて。

パートナーと寝ることのメリット

couple sleeping in bed together
Willie B. Thomas//Getty Images

一般的に、パートナーとベッドを共にすることは、二人の関係だけでなく、睡眠の健康にとってもメリットがあるということ知ってる? 睡眠に関する調査や教育リソースを提供しているThe Better Sleep Councilによると、愛する人の隣で眠ることで、脳からオキシトシン(別名 ”愛情ホルモン”とも呼ばれる)が分泌されるんだって。この物質により、不安を軽減し、落ち着きと安心感を植え付け、より良い深い眠りを得ることができるんだとか。同様に、パートナーの穏やかな呼吸パターンは、あなたが眠りに落ちやすくするリズムを作ることができるそう。

だけど、待って。これを知って、首を傾げている人も中にはいるはず。例えば、パートナーのいびきがまるで車のバックファイアのようだったり、電気をつけたまま夜更かしするのが好きだったりすると、決していい夢なんて見れない。そして、地味だけど、布団の取り合いも、パートナーとベットを共にすることで直面する問題の一つとして、よく言われること。毛布を取り合ったり、寝返りに耐えたりするのは、決して理想的とは言い難い。そこで注目したいのが「スカンジナビア睡眠法」だ。

スカンジナビア睡眠法とは?

これはtiktokの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

2023年10月、スウェーデン人のセシリア・ブロムダールがTikTokに投稿したことがバイラルとなり、何百万人ものTikTokユーザーがこのスカンジナビア睡眠法を知ることとなった。この方法は、スウェーデン、ノルウェー、デンマークのスカンジナビア諸国で人気のある睡眠スタイルであることからその名がついたもの。

スカンジナビ睡眠法では、パートナーはベッドを共有するが、大きな布団を共有する代わりに、自分のシングルサイズの羽毛布団の下で眠るというもの。この方法により、睡眠に関する混乱を最小限に抑えることができ、夜間に各自が体温調節をすることができるようになる。

ちなみに、掛け布団や毛布を使うこともできるが、羽毛布団はスカンジナビアやその他の寒いヨーロッパ諸国で発達したものなので、スカンジナビア睡眠法では伝統的に使われているんだそう。

スカンジナビア睡眠法のメリットとは?

alarm clock female and male sleeping in bed
Carol Yepes//Getty Images

各自で体温調節ができる

体温には個人差があり、暑さや寒さに敏感な人もいれば、そうでない人もいる。睡眠中も必要な体温も変化し、人は布団の掛け方や寝姿勢を調節することで常に体温を管理している。そして、ポイントなのは、多くの場合、これはベッドパートナー同士で共通ではないということ。特にパートナーが異性の場合では、筋肉量などの差からその違いは大きい可能性が。体温調節は睡眠の質にとって極めて重要な要素。体温調節ができないと、睡眠の質が低下することもあるので、個人に合わせた体温調節が必要となるわけだ。

スカンジナビア睡眠法で、羽毛布団をそれぞれ使えば、寝ている間の体温調節がフリーとなる。寒がりの人は羽毛布団にすっぽりくるまることができるし、暑がりの人は、毛布を薄くして寝たり、体の一部に羽毛布団をかけて、左右の足や脚を露出させて風通しを良くすることができる。地味だけど、これだけで劇的に睡眠の質が変わるから絶対に試してみて。

就寝時間が異なるカップルでも大丈夫

パートナーと就寝時間が異なると、相手が後からベッドに入ってきてうっかり起こしてしまうなど、睡眠に影響を与えることもある。

個別の羽毛布団は、就寝時間が遅い人や起床時間が早い人が、睡眠パートナーの邪魔にならないようにするのに最適なオプションだと言えるだろう。スカンジナビア睡眠法では、片方が寝ている間にもう片方がベッドにもぐりこむことができるため、各自が最適な就寝時間を選ぶことができるのだ。

安心して眠ることができる

ある調査によると、パートナーと一緒に寝ると、客観的には寝つきが悪くなるとしても、一人で寝るよりパートナーと一緒に寝た方が良い睡眠が取れると感じていると報告している。多くのカップルは、ベッドを共にすることを二人の関係の重要な一部と考えているというわけだ。また別の研究によると、添い寝をすることで、レム睡眠の時間が長くなる可能性があるという。レム睡眠は、記憶の処理や社会的スキルの発達、またメンタルヘルス向上にも重要。

スカンジナビア睡眠法は、睡眠の質を犠牲にすることなく、カップルが同じベッドで眠り続けることを可能にしてくれる。

どう? 試してみたいと思った? パートナーとの布団の取り合いや、寝相にお悩みの人はぜひトライしてほしい。ただし、スカンジナビア睡眠法は、パートナーとベットを共有する問題を軽減することができるけれど、全ての問題を解決してくれるわけではないので、必要な場合は専門家に相談することも検討しよう。

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桑子 麻衣子
ライター

1986年横浜生まれ。2013年よりシンガポール在住。幼少期よりクラシックバレエの練習に励みバレリーナになることを目指していたが、思春期に恋愛に走ってしまう。ヨガインストラクター、アーユルヴェーダアドバイザーの経験を活かし、現在は国内外のウェルネスやフィットネスなど健康周りの情報を中心に発信するライターとして活動。根っからの健康オタク。
Instagram: @mic_kwk