あなたは「生理の正解とは何か」と聞かれて、すぐに答えられるだろうか?

そもそも、世の中の生理の認識や基準はどこからきているのだろう。家族、母親、姉妹、友達、保健体育の授業、雑誌、はたまた都市伝説……という場合もあるかもしれない。

「本当の生理の正解なんて、医者も含めてあまり知られていない」と語るのは、こまがた医院・院長の駒形依子氏だ。もちろん、教科書に書いてある出血量の「正常の数値」は知っている。しかし、男性の医者であればなおさら、自分が毎月出血しているわけではないため、女性たちが体感的にどれくらいが「普通」だと思っているかなんて、おそらくわからないのではないだろうか。

また、駒形氏によれば、女性であっても自分の出血量が正常なのか、みんながどれだけ出血しているのか、知らない方が普通だという。とはいえ、月に1回の生理は、自分の体のバロメーター。自分の経血量や生理周期を観察することで、女性にとって大切な子宮の状態を知ることができる。

駒形氏の著書『膣の女子力 女医が教える「人には聞けない不調」の治し方』より、正しい生理について確認してみよう。

正しい出血量は昼用紙ナプキン3枚分!

「1〜2時間ごとに夜用のナプキンを替えている」

「夜オムツタイプのナプキンにしないと漏れる」

生理について話すとき、そんな“多すぎる生理”について語られることが少なくない。では、生理の適性量とはどれくらいなのだろうか。まずは、教科書の記載から確認してみよう。教科書によると、月に1回の正常の月経血の合計量は20~140g、期間は3〜7日と書かれている。

次に体感的にイメージしやすいように説明してみたい。正常な出血量をナプキンで換算してみると、吸水性ポリマーが入っていない昼用ナプキンが3枚あれば余裕で足りる量に値する。そう聞くと大半の人は驚くのではないだろうか。ひと月分の正常な出血量は250mlの缶コーヒー1本にも満たない量なのだ。

出産より出血している場合も

月経が多い人のなかには座っている状態から立ち上がっただけで、100mlぐらい出血する場合がある。

実は出産のときでさえ、何の問題もなく出産したときの平均出血量は約300ml前後。100ml以下で済む人もいる。

つまり、妊娠していないのに、過多月経の人は生理のたびに出産しているようなもの。こう聞くと多すぎる生理は放っておいていいはずがないことがわかるだろう。子宮筋腫や子宮内膜症などの疾患がないか、一度病院で確認してもらおう。

多すぎる月経は女子力のムダ遣い

過多月経
Carol Yepes//Getty Images

また、仮に診察で異常なしだと言われても、「多すぎる月経は女子力のムダ遣い」だと駒形氏は続ける。

女性に多い「冷え」からくるトラブル。血液を大量に失うことは、女性の冷えの最大の原因だ。失った血液と同等か、それ以上の血液を補充できなければ、体は冷えていく一方。いくら外から温めていても、温める必要がない体になるまでは程遠い。

さらに血液には栄養や酸素、水分も全て含まれている。高いサプリメントを飲んでいる人は、失った血液のなかにその成分も入っている。せっかく自分にかけたお金をムダにしていることも同じなのだ。

少なすぎるのも病気のサイン

反対に生理が少なすぎる場合はどうか。たとえば、生理開始から終わりまでおりものシートで足りる、生理が1日で終わるという人は経血量が少なすぎる。

このような場合、生理だと思っている出血は生理ではなく、不正出血の可能性が高い。あきらかな生理らしき出血がなく、少量の不正出血が続いている場合は、子宮頸がんや子宮体がんの疑いもある。このような場合もまずは、病院で診察を受けることが大切だ。

おりものでも体の状態がわかる

さて、みなさんは自分のおりものを観察したことがあるだろうか?  生理同様におりものも体の状態を把握するのに役立つ。最後に正常なおりものについても簡単に説明しておきたい。

・生理終了から排卵まで:白っぽいおりものが少し多めにでる。毎日パンツにつくか、つかないか程度の量。

・排卵期:卵の白身のようなドロっとした伸びるおりもの。人によっては下着が汚れるので、おりものシートが欲しいな、と思うぐらい。

・排卵後から生理開始まで:少し酸っぱいにおいのおりもの。パンツにつくか、つかないか程度の量。

お気づきだろうか。ドラッグストアでナプキンとともに売られているおりものシートだが、本来はおりものシートをつけないと気になるほどの量がでることはないのだ。

多すぎるおりものの原因の1つに、ムレが挙げられる。女性が好むパンツの多くはツルツルの生地のナイロンパンツが多い。しかし、ナイロン生地は通気性が悪いので、蒸れて雑菌が増えやすくなり、おりものの量が多くなる。また、おりものシートをつけることで蒸れて、さらにおりものが増えるという悪循環に陥っていることもある。

生理とあわせておりものの状態も一度確認してみるといいだろう。

『膣の女子力 女医が教える「人には聞けない不調」の治し方』
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Credit: amazon

こまがた医院院長の駒形依子氏による著書『膣の女子力 女医が教える「人には聞けない不調」の治し方』がKADOKAWAより好評発売中だ。婦人科での研修医時代、患者よりも自分の生理のほうがひどい状態という矛盾を痛感し、以降、生理痛や過多月経をなくす方法を追求してきた。本書では今回ご紹介した生理の正しい知識はじめ、生理トラブルの対処法、婦人科疾患、不妊、セックスの悩みまでその解決策が幅広く掲載されている。

<目次>
第1章 本当の女子力は膣で決まる
第2章 生理と女子力
第3章 セックスと女子力
第4章 婦人科疾患と女子力
第5章 こまがた式9つのセルフケア

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