おなかの調子が悪いにせよ、過敏性腸症候群(IBS)の症状に悩まされているにせよ、一つだけ確かなことがある。それは、多様性豊かな普段の食事をしていても、改善にはつながらないということ。それどころか、症状を悪化させる恐れさえあるという。

嘔吐や下痢などの症状を改善する最善の策としては、少なくとも胃の調子が元に戻るまでの間は、刺激の少ない食事に徹すること。つまり、どんな食事? 基本的に脂肪分と食物繊維が少ない食品は、調子が悪い消化管への負担を減らすことができる。

結腸(大腸)は、時間をかけて脂っこい食べものや食物繊維が多い食べものを処理し、最終的には老廃物を便として排泄する器官であるため、炎症を起こしているなら、このような食べものを食べてさらに負荷を与えることだけは避けたいところ。普段ならヘルシーなエキストラバージンオリーブオイルで炒めたブロッコリーも、胃の調子が悪いときはNG。

ではさっそく、アメリカ版ウィメンズヘルスのアドバイザーで胃腸科医のサマンサ・ナザレス医学博士が勧めてくれた、胃にやさしい食べものをみていこう。次回からの買いものリストを作る参考にしてみて。

1.  白パン/白米

全粒穀物のパンや玄米に比べて、白い炭水化物は消化がはるかに簡単。なぜなら、白い炭水化物は精製されて白く加工される過程で食物繊維が取り除かれているから。

もちろん、普段は食物繊維が豊富な全粒穀物を食べることが理想的。体内でゆっくり分解されるので、満腹感を長く保つことができる。でも胃の調子が優れないときには、白い炭水化物を食べたほうが楽で快適に過ごせることのほうが多いのだとか。

粗塩が振りかけられたソーダクラッカーもオススメ。下痢がひどいときは脱水症状に陥りやすいため、塩分が電解質の役割(水分保持)を果たしてくれる。バターや全粒粉で作られていなければ、プレッツェルもおなかの味方。

2. スイカ

fresh ripe watermelon slices on wooden table
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甘くてジューシーなメロンもスイカもほぼ水分でできているため、消化器官の負担を減らせるだけでなく、下痢が続いている場合はとくに、水分補給にも最適な食べものだとか。また、メロンやスイカに含まれる食物繊維の量は比較的少ないので、基本的には体内に吸収され、結腸に残るものはほぼない。

ほとんどの野菜は食物繊維が豊富だけれど、消化にやさしい野菜を食べたい人には皮をむいたキュウリがベスト! スイカと同じく水分量も多い。ただし、種まで食べてしまわないように。種は消化できないから。

3. 鶏肉/七面鳥

タンパク質に関しては、鶏肉や七面鳥、魚など、脂肪分が少ないものを選ぶこと。

タンパク質も低脂肪であることが重要なので、揚げたり炒めるよりも、焼いて食べる調理法がおすすめ。

魚を食べるときの注意点:寿司は避けること。腹痛を招く原因になりかねない。胃の調子が悪いときは、サバやイワシなどの脂がのった魚も胃の負担となるので控えて。

4. バナナ

high angle view of fruits in bowl on table
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胃が優れないときは、茶色くなったバナナを選んで。熟れていない緑色のバナナほどレジスタントスターチ(難消化性デンプン)が多く含まれており、これは消化に時間を要し、腸内細菌のエサとなるプレバイオティクスと似た作用を持っている。おなかが不調なときに、このような細菌が活発になるのは避けたいもの。でも、バナナが熟すとレジスタントスターチは糖に変わるので、この問題は解消されるのだとか。バナナは、便秘や下痢を改善する効果もあるからありがたい!

5.  加熱調理したシリアル

そう、オートミールのこと。ファリーナ(セモリナ)やグリッツも、水で調理されたものならオッケー。乳製品やナッツミルクは、消化器に問題を引き起こす可能性があるので避けて。これらのシリアルを水で加熱調理すると、その過程で成分を分解することができる。つまり、口に入れる前から胃の消化作用を手伝えることに。

胃の調子が悪いときは、オートミールにピーナッツバターをトッピングするのはやめておこう。ピーナッツバターに関しては、消化しやすい人とそうでない人がいるという。後者の場合は、胃酸の逆流が悪化してしまう可能性があるので、胃が弱っている間は控えておいたほうが安心。

6.  野菜の缶詰

具体的に言うなら、缶詰のニンジン。他の野菜とは違って食物繊維が少なく、繊維質の皮や種も含まれていない。でも、保存料がいっぱい使われた缶詰には注意が必要。これらを避けるには、原材料ができるだけシンプルなものを選ぶこと。基本的には、水と野菜だけのものがベスト。

7. サツマイモ

grilled or baked japanese sweet potatoes on wood plate
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風味や栄養がより豊かな食材を求めているなら、サツマイモを1本焼いて、皮は食べないように中身をすくって食べよう! サツマイモには、カリウムもたっぷり。

8. 卵

一番いいのはゆで卵。水だけで完成するし、ポーチドエッグや目玉焼きとは違って、卵に完全に火が通っている。ゆで卵が苦手なら、スクランブルエッグはどう? ただし、バターはごく少量に。

9.  アップルソース

童心に帰ってアップルソース(りんごを煮て砂糖を加えてすりつぶしたもの)を堪能してみては? 火を通したシリアルと同様に、アップルソースは“事前に消化された”ものなので、おなかにやさしい(より消化しやすい果物と捉えてもらってオッケー)。それに甘くて美味しいし、胃が不調なときに不足しやすいビタミンが補えるのもうれしいメリット。

10.  チキンスープ

cooking pot with raw corn fed chicken, onion, herbs and greens , close up
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心を癒してくれるだけでなく、いろんな食材を消化しやすい形で食べることができる温かいチキンスープ。野菜と鶏肉、煮汁を一緒に何時間も煮込むことで、消化器を通過する前から多くの成分を分解でき、その分消化器を休ませてあげられる。

鶏肉や野菜を想像するだけで胃がムカムカするようなら、スープをすするだけでも十分。塩分と水分の組み合わせは、水分補給に最適だから。

11. ハーブティー

なにも食べる気になれず心を癒したいときには、ハーブティーがオススメ。カモミールティーは刺激が少なく胃にやさしいことで有名。フェンネルティーは痙攣や便秘を和らげるのに効果的。吐き気を抑えたければ、ジンジャーティーが優秀。ペパーミントティーは、胃痛や下痢の改善を助けてくれる。
 
※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: SAMANTHA NAZARETH AND MD Translation : Yukie Kawabata

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川畑 幸絵
翻訳者

短大卒業後バンクーバー、メルボルンで2年留学した後、外資系客室乗務員として勤務。2018年に退職後、翻訳者としてフリーランスに転身。アメリカで統合栄養学を学んだ経験もあり。