ニゲラの種には別名がいくつもある。カロンジ、ブラックシード、ブラッククミン、ブラックオニオンシード(黒玉ねぎの種)、クロタネソウ、ローマンコリアンダー、チャルヌシュカー。かなりややこしいでしょう?
正確に言うと、ニゲラの種は学名をニゲラ・サティヴァという植物のさやから取れる。ニゲラ・サティヴァはキンポウゲやヒエンソウと同じキンポウゲ科の一年草で、その香り高い種子はスパイスや植物療法に用いられてきた。
ニゲラの種は世界中の食卓で見られるけれど、とりわけインド・北アフリカ・中東ではカレーやフラットブレッドに使ったり、サラダ、スープ、ディップに振りかけたりすることが多い。
ここからは、そのニゲラの種が健康によいとされる理由をイギリス版ウィメンズヘルスから見ていこう。
1.ビタミンが豊富
ニゲラの種は、さまざまなビタミンとミネラルの優秀な供給源で、カルシウム、鉄、亜鉛、銅、チアミン、ナイアシン、リン、葉酸を豊富に含む。
2.抗酸化物質がたっぷり
有害なフリーラジカルの影響を弱め、細胞の酸化ダメージを防いでくれる抗酸化物質は、私たちの健康と慢性疾患(がんや糖尿病など)の予防に不可欠。ニゲラの種には、その抗酸化物質が凝縮されている。
3.コレステロール値を下げる
ニゲラの種は、総コレステロールおよび心疾患や脳卒中のリスクを上げる悪玉=LDL(低比重リポタンパク)コレステロールだけでなく、血中トリグリセリドの値も下げてくれる(血中トリグリセリドは脂肪の一種。バターやオイルなどの脂質を摂りすぎると、そのエネルギーが体内ですぐに使われず血流に乗って体内を循環するため、この値が高くなる)。パウダーの形で摂取すれば、血中の過剰なコレステロールを吸収して肝臓に戻す善玉=HDL(高比重リポタンパク)コレステロール値も高くなる。
糖尿病の人には、この作用がとくに有益。実際に、ニゲラの種で糖尿病の人の総コレステロール値とLDLコレステロール値が下がり、HDLコレステロール値が上がったことを示す研究結果も存在する。
4.ダイエットの強い味方
ニゲラの種は、肥満や代謝異常の改善に役立つ可能性がある。これまでの研究結果も、ニゲラの種をサプリメントとして摂取すると体重とBMIが下がることを示している。
5.抗がん作用がある
過去の試験管内実験では、ニゲラの種の有効成分チモキノンに驚くべき抗がん作用があり、すい臓がん、肺がん、子宮頸がん、前立腺がん、皮膚がん、大腸がん、血液がん、乳がんにはとくに効くという結果が出ている。ただし、ヒトを対象とした実験でも同じ結果が出るかどうかは分からない。
6.抗菌作用がある
これも試験管実験の結果ではあるけれど、ニゲラの種には抗菌作用があり、一般的な抗生物質が効かない細菌に対しても効果を発揮することがある。
7.血圧を下げる
ニゲラの種から抽出したオイルは、健康な人の血圧を下げることが分かっている。
8.抗炎症作用がある
ニゲラの種には、炎症を減らし、筋肉を弛緩させる作用があるため、ぜんそくや胃腸障害の人にも有益。アルツハイマー病やパーキンソン病の一因となる脳組織の神経炎症を改善する可能性もあるけれど、これは動物実験の結果に過ぎないため、ヒトを対象とした実験が必要となる。
9.血糖値を調節する
これまでの研究により、ニゲラの種のエキスを摂取すると、インスリンの産生量が増加して血糖値が改善することが分かっている。糖尿病の人にはとくにうれしい話。
10.肝臓をダメージやケガから守る
ニゲラの種には、脂肪肝(肝細胞の中で脂肪が蓄積すること)を改善し、肝臓の損傷を防ぎ、脂質プロフィールを改善する作用があると言われている。オイルの形で摂取すると、とくに高い効果が見込める。
11.摂取しやすい
ニゲラの種やオイルは比較的安価で入手しやすい。生でも食べられるけれど、ローストすると玉ねぎのような風味が強くなる。さまざまな料理に振りかけたり加えたりして摂取量を増やしていこう。
※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。
Text: Rebecca Gillam Translation: Ai Igamoto
Bex is a wellbeing writer, brand consultant and qualified yoga and meditation teacher who likes baths, crystals, running with her pup Gustav and making unboring vegan-ish food.
ウィメンズヘルス立ち上げ直後から翻訳者として活動。スキューバダイビングインストラクターの資格を持ち、「旅は人生」をモットーに今日も世界を飛び回る。最近は折りたたみ式ヨガマットが手放せない。現在アラビア語を勉強中。