スーパーで簡単に手に入り、栄養価が高い食材の代表であるレバー。和洋中問わず活用されるものの、好き嫌いが別れる食材としての印象も強い。
「あるアンケート調査によると、半数以上の人が苦手という結果です。食感や匂いなど理由は様々ですが、一方では根強いファンがいるのも事実。無理に食べる必要はありませんが、苦手を克服して様々な食材から栄養を摂ることは健康にとって重要です」
牛や豚、鶏などはもちろんだが、世界三大珍味と呼ばれるフォアグラもレバーの一種で、特殊な餌を与えたガチョウの脂肪肝。
また、魚の肝臓はキモとしても親しまれ、アンコウやカワハギ、ウナギなどがよく食用にされる。
「根強い生食ニーズがある食材でもありますが、健康面を考えると必ず加熱調理をしてください。食材は正しく調理することでも、サプリメント以上に良い影響を与えてくれることもあります」
①ミネラル不足の解消
鉄分豊富な食材として有名なレバー。
他にも銅や亜鉛、セレンやモリブデンなどのミネラルも豊富で、数ある食材の中でもトップクラスにミネラル含有量が多い。
「牛レバーに比べると、豚や鶏レバーは鉄分が2倍以上も多く含まれます。一方の牛レバーには豚や鶏レバーの5倍以上の銅が含まれるので、同じレバーでも栄養が異なります」
実は銅も鉄欠乏性貧血と密接な関係があり、赤血球のヘモグロビンを作るために必要とされる。鉄分をしっかりと摂っているのに貧血気味という人は銅不足の可能性も。レバーとひとまとめにせず、色々な種類をバランスよく食べることが林さんのおすすめ。
②脂溶性ビタミンによる免疫力アップ
ミネラルと合わせて豊富に含まれるビタミン。
ビタミンAも、牛レバーに比べて豚や鶏のレバーに多く含まれ、細胞の増殖や分化を調整し、皮膚の健康維持に必須。体の中にウイルスを入れないようにするための粘膜免疫を強化する働きをもつ。
「豚レバー100gに含まれるビタミンAの量は、成人女性に対する一日摂取推奨量の約20倍にもなります。過剰摂取による健康被害を防ぐための耐用上限量も大幅に超えてしまいますので、食べ過ぎには注意しましょう」
もしビタミンAが不足しても、体内でビタミンAに変化するβカロテンなどのプロビタミンAが働きを助けてくれる。
しかし、このβカロテンの人口合成サプリメントを摂取することは、かえって肺がんリスクを上昇させてしまうことも知られている(フィンランドショック)。
ビタミンAは食材から摂ることを鉄則として、もし不足を感じても人口合成サプリメントは控えるようにしよう。
③水溶性ビタミンで疲労回復
水溶性ビタミンの代表といえば8種類のビタミンB群。エネルギーを作り出す際の補酵素としても働き、レバーにはバランスよく含まれている。
特に多く含まれるビタミンB12や葉酸は、赤血球を作る造血ビタミンとも言われ、不足すると鉄や銅の不足とはまた別の悪性貧血(巨赤芽球性貧血)を引き起こすので注意が必要。
「通常の食事で不足することは考えにくいビタミンB12や葉酸ですが、細胞分裂や成熟を左右するため、妊婦や成長期の子どもは十分に摂るようにしましょう。葉酸は熱にも弱いため、妊婦(または妊娠を計画している女性)には追加摂取が推奨されています」
ニンニクやニラに含まれるアリシンは、ビタミンB群の吸収を促進してくれる。さらに、油で調理することでアリシンの成分も壊れにくくなる。
レバー料理の定番メニュー・ニラレバには様々な健康メリットが隠されている。
④活性酸素から身を守るアンチエイジング
アンチエイジングに欠かせない栄養素の一つ、コエンザイムQ10。
細胞のミトコンドリア内でエネルギーを作り出す際に必要な補酵素で、不足すると元気が出なかったり、老化が促進したりする。
また、コエンザイムQ10には強い抗酸化作用があり、老化の原因となる増えすぎた活性酸素のダメージから体を守ってくれる。
「あらゆる細胞や血液中に存在するコエンザイムQ10ですが、特にエネルギーを必要とする心臓や肝臓などの内臓に多く存在します。年齢とともに量が低下するので、食事から摂っておくことでエネルギー産生能力の低下を防ぎます」
ミトコンドリアはエネルギーを作り出すビタミンB群と共に働くため、レバーはどちらも同時に摂れる最適食材。さらにコエンザイムQ10は、ビタミンEの抗酸化力をサポートする働きもあるので、ニラレバに卵も相性抜群。
⑤高タンパク質低脂質でも適量に
「様々な栄養を含むレバーですが、ベースも低脂質高タンパク質な食材なのでダイエットにも最適です。運動量の多い人は、汗によるミネラルの喪失なども多くなるので積極的に取り入れるようにしましょう」
連日に渡って50g程度の豚レバーを摂り続けると、関節や骨の痛みや皮膚の乾燥、食欲不振や体重減少などの慢性症状が出てくる可能性もある。
そのため、食べる目安としては焼き鳥1本(約40g)を週に1〜2回程度が良いと林さん。
「高級食材として扱われる白レバーは、特殊な餌が与えられた脂肪肝です。脂質はもちろん、それ以外の栄養価も高いので、特に注意が必要です。どんな食材や栄養も摂りすぎは体に良くありませんので、ご自身をさらに健康へと導いてくれる適量は知っておきましょう」
幼少期よりプロレスラーに憧れ、中学生の頃からジムに通い始め、高校・大学はアマチュアレスリング部に所属。
卒業後、一度は就職するもプロレスラーの夢を諦めきれず2011年プロレスリング・ノアに入門。練習中の怪我により
選手としてデビューすることはできなかったが、トレーニングを続けることで心身のモチベーションを維持し続けたことがきっかけでトレーナーとしての活動を始める。
インスタグラム: www.instagram.com/kenta_0327_/