生きている限り、体重が増えたり減ったりすることはある。これは、食生活やライフスタイルを問わず万人に共通すること。体重の変動は文字通り、その日/週の中で体重が変化することを意味する言葉で、自然と起こることもあれば、基礎疾患などが原因で起こることもある。イギリス版ウィメンズヘルスから詳しく見ていこう。

「簡単に言うと、体重の変動とは体重がベースラインを上回ったり下回ったりすることです」と説明するのは、フィットネスジム『Ultimate Performance』のパーソナルトレーナーでトレーナー教育マネージャーのエミリー・セルヴァンテ。「体組成(筋肉に対する脂肪の割合)に関係なく、1日を通して体重が1~3%変わるのは極めて普通のことです」

ダイエット中や体脂肪を減らそうとしている人にとって体重の変動は受け入れがたいかもしれないけれど、幸い、その原因(および対処法)が明白なケースもある。もちろん、実際に体重が増えている可能性もなくはない。

体重は変動して当たり前?

さまざまな理由から「体重が変動するのはまったくもって普通のことです」とセルヴァンテ。

「ダイエットの進捗を確認する上で便利な体重計にも欠点がいくつかあります。まず、体重計が表示するのは、あくまで重さ。具体的に何(脂肪、筋肉、水分)の量が増えたのか、減ったのか、はたまた変わっていないのかは分かりません」

「また、体重には体内の物質(筋肉、骨、臓器、組織、水分、食べた物など)がすべて含まれています。そう考えると、体重計の数字が示しているのは非常に大ざっぱな情報です」

毎日あるいは1日おきに体重を計っているなら、体重計は変化を可視化する方法の1つにすぎないことを覚えておいて。体重計の数字からすべてが分かることはない。

体重が増えたり減ったりする6つの理由

私たちの体重は、水分の摂取量や生理周期のステージといった数々の理由によって毎日変わる。

「体重を変動させる要因は数多くありますが、どれも論理的に考えることが大切です」とセルヴァンテ。「体脂肪が1kg増えたということは、カロリーの摂取量が平時を7700kcal上回ったということになります。そうでもしないと、体脂肪が1kgも増えることはないでしょう」

ここからは、体重の変動を引き起こす6つの主な要因を詳しく解説。

1.カロリー密度の高い物を食べた

カロリー密度が高い(サイズの割にカロリーが高い)食品は塩分が多い傾向にある。塩分は水を引き寄せるため、塩分を摂りすぎると体内に水がたまって体重が増えることも。

「私たちの行動は、細胞を出入りする水の量、つまり体内で保持される水の量に影響を与えます」と説明するのは、公認管理栄養士のソフィー・メドリン。

「体内で保持される水の量は、血中の塩分濃度によって変わると覚えておきましょう。塩分の過剰摂取によって血中や細胞内の塩分濃度が高くなると、体はそれを下げようとする。そのためには水が必要なので、喉が渇くわけですね」

高カロリーの食品を前にしたら「何事もほどほどに、ほどほどにするのもほどほどに」という格言をいつもの2倍意識して。高カロリーの食品が活躍する日(二日酔いの日など)はあるけれど、それを毎日にしないこと。

2.いつもより糖質の摂取量が多かった

糖質は正常な身体機能に欠かせない主要栄養素(だからこそ、糖質を完全にカットするダイエットプランには注意が必要)。

糖質は体内で分解されてエネルギーになるけれど、その過程で体重が少し増えることもある。

「糖質は体内でグリコーゲンに分解されて、水と一緒に筋細胞へ運ばれますが、そうすると体重が少し増えます」とセルヴァンテ。「これは完全に自然かつ必要なプロセスですし、この理由で体重が増えたとしても、体脂肪が増えたことにはなりません」

3.水を十分に飲んでいない

体の約6割は水分なので、水分が不足すると、体は現時点で体内にある水を手放そうとしなくなる。だから、こまめに水を飲み、キュウリやトマトといった水分含有量の多い食品を摂取することが大切。

4.ストレスがたまっている、または寝不足

「寝不足と過剰なストレスも、体内に水をたまりやすくします」とメドリン。

「ストレスといえばコルチゾールですが、コルチゾールは抗利尿ホルモン(ADH)の量を増やします。抗利尿ホルモンは、排尿を減らして体内の水分を保持するよう腎臓に指示を出します。これは、進化論的に素晴らしい生存メカニズムだったと言えるでしょう。狩猟採集民にとってストレスは常に食糧不足、水不足、身の危険を意味していたので、ストレスを感じたときに水分の保持量を増やすのは重要なことでした」

「睡眠も体液バランスに影響を及ぼすため、寝不足になると体に水がたまりやすくなります。また、ストレスを感じているときや疲れているときは、高カロリーの食べ物や塩辛い加工食品に手が出たり、飲む水の量が減ったりするので、余計に水がたまりやすくなりますね」

5.生理が近い

月経前症候群(PMS)は気分のむら、制御不能の食欲、倦怠感をもたらすだけでなく、体にたまる水の量も増やしてしまう。

「ホルモンバランスの変化によって水分の保持量が増え、体重が増えることもあります」と説明するのは、スキンケアクリニック『The Light Touch Clinic』のナタリー・ギアリー医師。「エストロゲンとプロゲステロンが急速に減少すると、体は生理が近いことを察知します。エストロゲンとプロゲステロンは体液バランスの調節にも関係しているのです」

6.便秘または胃腸の不調

ここ最近は消化不良で便秘がち? 「その場合は体重計の数字が増えるかもしれませんね」とセルヴァンテ。

「胃腸の調子が悪いときも、体内で炎症と水分滞留が起きているはず。いずれにせよ、食物繊維の摂取量を増やし、炎症を起こす食品を極力避けて、水をたっぷり飲みましょう。お通じが改善すれば、体重も元に戻るはずです」


体重の変動が問題になるのは、どんなとき?

上記の通り、体重が変動するのはまったくもって普通のこと。とはいえ、体重の増減が基礎疾患の存在を示していることもある。

「体重の変動はごく自然なことですが、体重が2kg以上増え、その状態が2日以上続いているなら、単純に水分の重さとは言えないかもしれません」とギアリー医師。「その場合は体調に気を配り、どこか調子が悪いときは医師に相談してみましょう」

体重が急激に増えた場合は?

「体重の増加は、さまざまな原因で起こります。加齢や生活習慣の変化によって徐々に増えるケースがほとんどですが、急激に増えた場合は甲状腺、腎臓、心臓などに問題があるのかもしれません」

不安なときは、迷わず医師に相談を。


体重は、どのくらいの頻度ではかるべき?

体重は、ベーシックな体重計ではかってもスマートな体組成計ではかってもいいけれど、その数字の信ぴょう性を高めるためには、はかりすぎを避けることが一番大事。

「体重管理が目的なら週に1度でいいですよ。それ以上はかっても、体液バランスとホルモンバランスの変化に伴う一時的な増減を目にするだけで、正確な体重は分かりません」と話すのは、公認管理栄養士のメリッサ・ミトリ。「体重の増減傾向をタイムリーに把握するなら、週に1回はかれば十分。あまり頻繁にはかるのは、メンタルヘルスにも悪いです」

これは有益なアドバイス。毎日体重計に乗っては一喜一憂するのはもうやめよう。

※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Morgan Fargo Translation: Ai Igamoto