新型コロナウイルスによる外出自粛はだいぶ緩和されてきているけれど、それでも新型コロナが発生する以前の世界に比べると、自宅で過ごす時間の方がずいぶんと長くなったのでは? 多くの人にとって、体を動かし、よく食べ、健康によいことをするためのモチベーションを維持するのはそう簡単ではない。
あるいは、この時間をすべて利用して健康に磨きをかけ、数週間はベストな自分になるための努力に専念したいと思うかもしれない。「仕事関連のイベントや外食、社交的な活動などが常にありすぎて、自分の健康状態に集中できずにいたりしませんか? 今こそ栄養とトレーニングに磨きをかける絶好のチャンスですよ」と話すのは、パーソナルトレーナーのコートニー・プルース(@courtneypruce)。
今から6週間程で安全に減量したいと考えるなら、あなたによい知らせがある。それは不可能じゃないということ。「6週間で減量する方法」 「6週間で10kg減量できる?」 「6週間のダイエットプランで6kg減量」 。これらは、Googleの検索キーワードでトレンド入りまでしている。
ただ、人それぞれに個性があるように、ストレス管理の仕方も人それぞれ異なる。ダイエットよりも、今はメンタルヘルスを優先したいと考えるなら無理にダイエットをする必要はないし、気分をよくする方法はたくさんあり、体重を減らすことが気分の改善につながらない人もいる。体重だけが健康の指標ではないということは、もう言うまでもないこと。
もしあなたが健康的な体重を目指したいと思うなら、体重に執着しながら惨めな生活を送らないこと。代わりに、私たちの専門家チームが、体と心の両方にメリットが得られる体形の変化の起こし方を、ここであなたに伝授。オーストラリア版ウィメンズヘルスから見ていこう。
まずは、Googleでもっとも検索された減量に関する質問の回答から。
1.6週間でどれくらい体重を落とせる?
専門家が推奨する減量の速度は、1週間につき500g〜1kg程度(これ以上落とすと代謝を乱すリスクがある)。よって、6週間で2kg落とせる女性もいれば、6kg弱を落とすことが可能な女性もいる。
だけど、体重の減少とは独特で、多くの要因に左右される。インスタグラムの誰かが自分より早く結果を出しているからといって、自分は全然進歩できていないということにはならない。身体組成に関しては、多くの要因が作用していることを認識しておくことが大切。
2.6週間で6kg落とすことはできる?
先述したように、このような速度での減量は「健康的」だとみなされない。多くの専門家やイギリスの国民健康サービス(NHS)は、「1週間につき0.5kg〜1kg程度」の減量を目指すべきだと助言している。
さらに、「女性は常に、体脂肪率が18%を切らないようにしましょう。ホルモンの分泌や生殖能力、規則的な生理周期が長期的に影響を受ける恐れがあるからです」と話すのは、ロンドンにあるスポーツジム「F45 Training Camden (@f45_training_camden)」に務めるジェイク・ローレンス。「見た目も気分も最高な状態でいられる健康的な体脂肪率の範囲は、18~25%です」
重要なのは、体重だけではなく体重を構成するもの。女性には体脂肪が必要だから。
3.自宅にいても、体重を減らせる?
「減量」とは、消費されるカロリーに対して摂取カロリーが不足することで起きる現象なので、自分の1日に消費する総カロリー量を知ることは、今の自分がどの位置にいて、どこから始めるべきかを理解するためのカギになる。「これこそが減量の基本的な科学であり、ドラマや感情は一切伴いません」と話すのは、パーソナルトレーナーのエミリー・リケッツ(@emrickettz)。
簡潔に言うなら、体重を減らすことは、毎日を生きていくために体が必要とする量よりも少なく食べることと同じくらいシンプル。運動量を増やして食べる量を少しだけ減らせば、カロリーが不足し、体重が落ちる可能性は高くなる。よって、自宅にいても体重は減らせる。家で過ごす時間が多いのなら、毎日の運動の仕方に工夫を凝らし、献立のプランを立てて賢く買いものをするなど、創意工夫を重ねることが必要になるだけ。すべての人に効果があるような万能なダイエット法などないけれど、これこそがシンプルで普遍的な減量の方程式であることは忘れないで。
4.減量のモチベーションを6週間維持し続けるには?
フィットネスや減量の食事プランを実践し始める前に、あなたはなぜ体重を落としたいのか、その一番の理由や目的を明確にすること。「これは、挫折しそうなときを乗り越えるための秘訣なのです」と話すのは、英国最大の健康補助食品サプライヤー「Healthspan」の臨床心理学者、ジェン・ナッシュ博士。「あなたが6週間で体重を落とそうと決めた一番の理由はなんですか? 健康状態が悪化するなど、望まないことから「遠ざかる」ことが目的なのか、自信に満ちた自分に「近づく」ことが目的なのか。この一番の理由を、物理的なリマインダーにすること。インスピレーションとなるような写真や言葉やフレーズなどを用意して、自分のモチベーションを上げるために使用するといい。
だけど、これだけは忘れないで。 「真の健康状態に焦点を当てることで、私たちはより健康で幸せになれるのです」と話すのは、米国の非営利団体「Project HEAL」のCEOであり共同設立者のクリスティーナ・サフラン。要するに、自分の幸せと体重計の数字を結びつけてしまうと、長期的にはうまくいかない。
5.特定の食品群を排除するべき?
絶対にしないで。アレルギーや健康状態の理由で医師や栄養士から指示をされない限り、特定の食品群を排除することは、栄養学的に勧められることはない。
先述したように、体重を減らしたければ、カロリーを不足させる必要がある。要するに、自分がどれくらいのカロリーを摂取しているのかを把握しなければならない。これを確実にしながら、好きな食べものも我慢せずに食べられる必勝法とは? 「ダイエットの軌道から少し外れても楽しめるような『フリーパス』を毎週いくつか設けることを検討してみてください」と、ナッシュ博士。「これは、6週間後の体重維持にも役立ちます。ケーキを食べたければ、食べることができるのです」
6.アプリを利用して、食べたものや飲んだものを記録したほうがいい?
とくに家にいると、摂取カロリーの計算を間違えて成果が出ないことはよくある。そのうち、家にストックしてあるクッキーを食べてしまえという気にもなってくる。そうなると、ダイエットを断念する可能性が高くなるので、そうなる前に戦略を立てる必要がある。まずはアプリを探してみて、ダウンロードしよう。カロリー計算のアプリは、摂取したもの全体を把握するのに最善な方法であることは間違いない。
減量に適した食べものはある?
6週間で体重を減らすには、どれくらい食べるべき?
国民健康サービスが安全に体重を減らすためのガイドラインとして提示している、1週間につき0.5g〜1kgの範囲を守りながら減量していくには、現在のカロリー摂取量から10%を減らす必要がある。1日に2,000kcalを摂取しているなら、1,800kcalに抑えることをまずは目標にする。「これに関しても人によって若干の違いはありますが、10%のカロリーの不足から開始し、6週間の進捗状況などの様子を見ながら徐々に調整していきましょう。20%以上もカロリーを不足させることは絶対に勧められません。とくに筋肉を維持して体重を落としたい人は、ちょっとずつゆっくり進めていくほうがよい結果を得られるでしょう」と、リケッツ。
これにはプルースも同意。「徐々にカロリーを不足させていくほうが(食事の摂取量から運動、身体活動による消費量を差し引いた総摂取カロリーから10〜20%を減らす)劇的に不足させるよりも、気分やエネルギーレベルを最高な状態に保てる必勝法です。これに加え、たまに無性に食べたくなるような美味しい食べものを食べる余地も自分のためにとっておきましょう」
上述したように、アプリを使ってカロリーや主要栄養素(炭水化物、脂質、タンパク質)をどれくらい摂取したか記録に付けていくことで、実際の毎日のカロリー摂取量をより理解できるようになる。家で過ごしているととくに無意識に間食をしたり「ながら食べ」をしがちなので、自分が思っている以上に食べていることはよくある。
6週間で体重を減らすには、なにを食べるべき?
①果実・野菜・タンパク質の摂取量を増やそう
特別で斬新なコンセプトではないけれど、これだけは確か。ナッシュ博士は毎食、果物と野菜、タンパク質をたくさん食べるように勧めている。
果物や野菜はビタミンやミネラルの含有量が多いうえ、カロリーが低いので、少ないカロリーでいっぱい食べているかのように感じることができる。例えば、100gのズッキーニは17kcalであるのに対し、スパゲッティは158kcal。「少なくても、食事のお皿の半分以上をグリーンの野菜で埋めてください」と話すのは、健康ジュースの宅配サービス「Nosh Detox」の創業者であるジータ・シドゥ=ロブ。「そうすると食物繊維の摂取量が増え、腸が健康になります」
一方で、タンパク質は満腹感を持続させてくれる。
②ヘルシーな脂質をもっと食べる
「栄養学的な観点から、余分に食べている炭水化物を、良質のタンパク質と脂質に置き換えることは、減量を成功させるもっとも簡単な方法の1つです」と、ローレンス。「これにより、体は炭水化物ではなく、脂質を主要なエネルギー源として利用するようになります」
以下の食品を取り入れてみよう。
・ココナッツ
・アボカド
・ナッツ
・サーモン
・鶏肉
・七面鳥
・赤身肉
③トレーニング後は炭水化物を楽しむ
「トレーニング後は、筋肉の発達と脂肪の減少を促すために、必ず炭水化物とタンパク質を補給する必要があります」と、ローレンス。ヘルシーな炭水化物の供給源は以下の通り。
・玄米
・キヌア
・さつまいも
・バターナッツ・スクワッシュ
④発酵食品を食べる
「減量するには、慎重かつ計画的に食事のバランスを考えて摂取する必要があります」と話すのは、臨床栄養学者のスージー・ソーヤー。「一貫して減量の成果を得るためには、体内にいる有益な細菌が良好な状態であることが必須になります。悪玉菌が異常に増殖すると、全身に炎症が起こり、体重が落ちなくなるのです」
腸内環境を良好な状態にするには? ソーヤーいわく、以下の食品を食べること。
・ザワークラウト
・海苔
・ケフィア
・豆腐
・テンペ
・味噌
・ナチュラルヨーグルト
これらはすべて善玉菌を補充して、減量をサポートしてくれる。
⑤ヘルシーなスナックをこまめに食べる
ダイエットの仕方は、自分と自分の体に合うものを見つけることが最善だけれど、実際に間食をとることで代謝率を維持し、空腹時の胃痛を防げるので、一部の人にとっては食事と食事の間に間食を挟むことが有益になる。
「スナックをこまめに食べることが重要ですが、ヘルシーなスナックを少量ずつ食べるようにしてください。午前中は、タンパク質源が豊富なナッツを一握り分程食べてみてはどうでしょう。午後の半ばには、アボカドやクリームチーズ、フムスと一緒に、オート麦のビスケットを1〜2枚食べるといいですよ」
⑥微量栄養素について考える
「カロリー摂取量を減らし、運動で体を鍛えると、エネルギーレベルを高く保つために追加で栄養素が必要になります」 と、ソーヤー。食品で補いきれない場合は、マルチビタミンミネラルのサプリメントなども活用しよう。
減量のための運動
カロリーを不足させる重要な話に戻ろう。カロリーの不足は、2つの方法で達成できる。一つは食べる量を少し減らし、もう一つは運動量を増やすこと。「私の意見ですが、もっとも重要なことは、食事だけでカロリーを不足させないことです。長期的に継続していくために、食事、定期的な運動、散歩や子供とのダンス、家事などの日常活動を組み合わせたものから不足を生み出す必要があります」と、プルース。
テレワークしたり家で過ごすことが、必ずしも身体活動量の減少につながることにはならない。家の中や庭を定期的に歩き回ったり、家事をこなしたり、スタンディングデスクを試してみたり、階段を登ってみることもできる。「なにもしないよりはずっとよいです。一日中座っているより、できるだけ歩いたほうがいい。行動のすべてが、毎日の総カロリーの消費量に貢献してくれます」と、プルース。
6週間で体重を減らすには、どんな運動が最適?
時間が限られているので、運動プログラムは効率的に行う必要がある。つまり? 自分が実際に楽しむことができて、またしたいと思えるような、十分にカロリーを燃焼するトレーニングを選択するのがベスト。
「減量以外にも、運動はフィットネスや筋肉量、可動性を維持するために非常に重要であり、総カロリー消費量にも大きく貢献してくれます。減量に適切な運動に関しては、あなたが心から楽しめる運動です。長期的に見ても、定期的に続けることがもっとも大切なので、自分に一番合っているワークアウトに取り組んでいきましょう」と、プルース。
これにはリケッツも同意。「結局のところ、減量に最適なワークアウトとは、あなたが一番楽しめる運動です。運動は娯楽であるべきで、罰を課されてやるようなものではありません。もし、運動が楽しめなければ、継続できません。どんなことも、成功させる最大のカギの一つは継続です。自分が楽しめるもの(楽しめると思うもの)をまずは選んでください。その運動に対する愛とパッションこそが、次の日もまたその次の日もやろうと自然に思えるものなのです」と、リケッツ。
1週間のワークアウトの例
プルースのおすすめのワークアウトは? 「週に2〜4回の筋力トレーニングと、1〜2回の有酸素運動を中心としたトレーニングを行うことです」。自宅でできるワークアウトは、以下を参考に。
筋力トレーニング
・ウェイトトレーニング
・自重ワークアウト
・体幹ワークアウト
・ピラティス
・ストレングス&コンディショニング
・クロスフィット
有酸素運動のアイデア
・早歩き
・ランニング
・全力疾走
・サイクリング
・自宅でできるカーディオワークアウト
・HIITワークアウト
・ボクシング
1週間に何回トレーニングをするといい?
この質問には簡単な回答がない。リケッツは、トレーニングを週に5回以上しないようにアドバイスしており、可能な範囲で1日に8,000歩〜12,000歩を歩くように勧めている。初心者の場合は、週に3回のトレーニングから開始し、徐々に回数を増やしていこう。プルースは、毎日の目標歩数を達成することと、可能な限り、1日を活動的に過ごすことを勧めている。
週5回以上もトレーニングをすると、リカバリーに影響を及ぼす恐れがある。トレーニングをするときはそれだけに集中し、家の中を歩き回ったり、立って仕事をするなどして、普段の生活の中でも体を動かすように心がけよう。専門家は皆、口をそろえてリカバリーも重要だと強調しているので、無理をしすぎることのないように。
まとめ
これらが、6週間で体重を減らすもっともシンプルなステップ。ただ、これだけは忘れないで。体重の減り方は人それぞれ違うけれど、基本的な前提はとても単純。普段よりも食べる量を減らし (約10%)、水をたくさん飲み、定期的に体を動かすこと。
※この記事は当初、イギリス版ウィメンズヘルスに掲載されました。
※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。
Text: WH STAFF Translation : Yukie Kawabata