5500年前から栽培されて、古代エジプトとシュメールの食卓にも並んでいた玉ねぎ。現代ではイタリアから中国まで、ありとあらゆる国の料理で使われているけれど、これほど広く浸透した野菜にも、まだ明らかにされていない事実があった。

北海道情報大学の研究チームによると、玉ねぎにはケルセチンという名のフラボノイドが大量に含まれている。そして、このケルセチンには、抗酸化作用と降圧(高血圧を抑える)作用だけでなく、腹部の臓器を取り巻く有害な内臓脂肪を減らす力もあるという。

同大学が行った12週間の実験では、被験者が通常の運動量と食生活をキープしたまま、ケルセチンたっぷりのオニオンパウダーを1日9g摂取した。その結果、高密度リポタンパク(HDL/善玉)コレステロール値が低い人は、コントロールグループよりも内臓脂肪が圧倒的に少なく、肝機能が良好なことが分かった。研究チームによると、この結果は玉ねぎが肥満の防止に役立つ可能性を示している。

これまでの研究により、ケルセチンは膀胱感染症の症状を和らげ、前立腺の健康を促進し、血圧を下げることが分かっている。また、この成分を含む玉ねぎに抗がん作用があることを示す研究結果も存在する。

ただし、玉ねぎのむき方には注意が必要。農学・食品科学専門誌『Journal of Agricultural and Food Chemistry』掲載の論文によると、フラボノイドは玉ねぎの実の外層に多いため、むくのは最小限にしたほうがいい。

パワフルな植物性化学物質

以下の3つの植物性化学物質は、ケルセチンに負けず劣らず優秀な作用を持つ。これを機に供給源と併せてチェック。

レスベラトロール

作用:心臓の健康を促進し、血糖値のコントロールを楽にする。

供給源:ピーナッツ、ピスタチオ、ブルーベリー、ココア、赤ワイン。ドライフルーツ、ナッツ、チョコレートを組み合わせて、運動前のエネルギー補給を。

クルクミン

作用:痛みを和らげ、不安と気分の落ち込みを軽減する。

供給源:ターメリック。スクランブルエッグにはターメリックパウダーを入れて。黒コショウはターメリックの吸収を促す。

ケンフェロール(ケンペロール)

作用:抗肥満作用に加えて、抗がん作用を持つ可能性もある。

供給源:アブラナ科の野菜、ホウレン草、ジャガイモ、トマト。冬はケール、トマト、白豆のスープで体を温めよう。

※この記事は、イギリス版『Runners World』から翻訳されました。

Text: Yo Zushi and Rick Pearson Translation: Ai Igamoto