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睡眠熱中症のリスクが急上昇! その原因と対処法とは

夜間に起こる「熱中症」には思わぬ危険がいっぱい?

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insomnia and nightmare in bed at night
demaerre//Getty Images

夏になると気を付けたいのが「熱中症」のリスク。今年もうだるほどの暑さが続き、それに加えて湿度が高い日も多い。2023年は電気代の高騰から冷房の使用を控える人が増え、特に睡眠時の利用は少ない傾向にあるのだという。そこで気をつけたいのが睡眠中に発症する「睡眠熱中症」である。今回は第一三共ヘルスケアの調査をもとに、睡眠熱中症が起こる要因と対策について第一三共ヘルスケアの松尾 健さんに詳しく伺った。このアドバイスで、暑苦しい熱帯夜も、賢く元気に乗り越えよう!

今年の「夏の自宅における暑さ対策」

三共ヘルスケア調査
第一三共ヘルスケア「2023年夏のセルフケア」に関する調査

第一三共ヘルスケアは、全国20~60代の男女600人に「2023年夏のセルフケア」に関する調査を行った。すると去年と比べて今年の暑さ対策に変化がありそうな人のうち、約7割(65.0%)「冷房の使い方に変化がありそう」と回答し、電気代高騰により節電を意識していることが分かった。

「睡眠熱中症」のリスクが高まる結果に

第一三共ヘルスケア
第一三共ヘルスケア「2023年夏のセルフケア」に関する調査

また夏の睡眠の満足度調査では、約半数(47.3%)「夏場の睡眠に満足できていない」と回答。そのうち夏場に快適な睡眠をとるために行っている工夫や対策を見てみると、睡眠時に冷房を使用する人は約2割(21.4%)に留まり、約8割(78.6%)は、睡眠時に冷房の使用を控える傾向から「睡眠熱中症」にかかるリスクが高くなると推測。

ここからはその要因と対処法についてみていこう。

「睡眠熱中症」のリスクとなる3つの要因

hot night in madrid, spain
Jose Gonzalez Buenaposada//Getty Images

「熱中症は時間帯を問わず、条件が揃うと発症のリスクが高まります」

1.気温が高い環境 

夏場は昼間の熱が建物の壁や屋根にこもりがち。そしてその状態でエアコンを切ると、熱がどんどん壁から部屋の中に伝わり、結果として室内の温湿度が上がってしまう。また、睡眠中は暑さや汗をかいた量などの把握が難しいため、熱中症の重症化リスクが一層高まるのだ。

2.湿度が高い環境 

気温が上がると、湿度も高くなる傾向がある。窓を開けても熱帯夜により暑くムンムンとした環境は、そもそも寝るのに適していない。

3.風が吹いていない環境 

エアコンもかけず、窓を閉めた状態だと熱がこもりやすい。けれど、窓を開けたからといって、実はいい環境になるわけではない。去年と50年前のデータで「1年間で熱帯夜の数がどれだけあったか」を見比べてみると、50年前だと年間9日間。昨年に関しては27日間の熱帯夜があったという事実が……。となると、ほぼ1カ月熱帯夜だったという計算になる。窓を開けて寝ていても、熱帯夜といわれる気温を下回らないので、自動的に熱中症のリスクは高くなる。

「睡眠に適した温湿度というのは決まっていて、夏場だと温度26℃以下、湿度が50~60%がいいとされています。」

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今日からでもできる対策方法は? 

girl suffering a heat wave in the bed in the night
AntonioGuillem//Getty Images

「今夜からでも始められる対策は4つありますので、1つずつ説明していきますね」

1.エアコンを弱めに設定し、扇風機をかける

冷房を弱め(またはドライ機能)に設定し、扇風機を回すことで空気が流れている環境を作ることが大切。それにより体温を空気が奪ってくれるため、極端に気温を下げなくても暑く感じることは減るみたい。ただしその際は、体の1箇所に風が当たらないよう、体を冷やすというよりは空気を回すために扇風機を利用するよう心がけよう。

2.寝具を工夫する

通気性、吸汗性のある素材のパジャマを選ぶこと。また快眠のためには、シーツやカバーに関しても冬用と夏用を使い分けるなどで体温がこもらないようにしよう。

3.冷却クッズを使う

熱中症を防ぐという意味では、冷えたもの。例えば水枕で後頭部を冷やすのもおすすめ。また血流が多いわきの下や股関節なども冷やすと効果的である。

4.寝る前にも水分補修を

昼間は喉の渇きや頭痛など、熱中症の初期症状に気づきやすい。けれど睡眠時はそういった症状が起こっても気づくのが難しく、目が覚めた時には深刻になっているケースが多い。事実、熱中症で搬送される方の23%が夜間に運ばれているのだそう。だからこそ、就寝前に水分補給をすることで熱中症予防を心掛けたい。

睡眠熱中症に気を付けることができたら、睡眠の質も上げて、できればぐっすりと眠りにつきたいもの。

そこで、「睡眠の質を上げる7つのポイント」についても伺った。

「睡眠の質」向上のポイント

woman sleeping cozily on a bed in her bedroom at night
bymuratdeniz//Getty Images

・寝る3時間前までに夕食を済ませる

睡眠の質に限らず、逆流性食道炎のリスクという観点からも、満腹の状態で寝ることは避けたい。

・部屋の照明は徐々に暗くする

明るい状態から一気に照明を落として寝るのではなく、徐々に暗くすることで心を落ち着かせる。またスマートフォンやPCのディスプレイから発せられるブルーライトも睡眠の妨げになるといわれている。

・布団に入るのは入浴の2時間後

入浴後2時間ほどで、上がっていた体温は平常値に戻ってくる。体温の低下につれて眠気もくるといわれているため、そこに合わせて布団に入るのがベストなタイミング。夏場はシャワーで済ませがちだけれど、ぬるめでもよいので浴槽にお湯を張って浸かり、体温を上げることがおすすめ。

・激しい運動は控える

激しい筋トレやランニングなどの汗をかくような運動は控え、軽いヨガやストレッチを行うことで体のリズムが整い安眠にもつながる。

・寝酒はNG

アルコールは質の悪い睡眠に繋がり、逆に疲れた感覚や、疲れが取れなかったりすることがある。また利尿作用により夜間にトイレへ行きたくなることも。お酒は自分の適量を知ることと、就寝の何時間前までに飲み終わる、等のルールを設定するとよい。

・寝る前のカフェイン飲料を控える

寝る前にコーヒーやカフェインが入っているお茶は避けよう。個人差はあるけれど、カフェインは体外に出るまで約8時間ほどかかるといわれているそう。夕方の4時以降のコーヒーはデカフェにするなどで、カフェインを控えるようにしよう。

・朝はしっかり太陽の光を浴びる

体内時計をリセットするために、朝日を浴びるのは大切。朝日が目に入った刺激により、眠気に関与する「メラトニン」という成分の分泌が抑えられて体が活動モードになる。そして朝日を浴びた時から逆算して約14時間後にメラトニンの分泌が増えて眠気が起こるため、朝にしっかり陽を浴びていないと夜眠くならないことにもつながる。

参照記事:寝不足の悪習慣から抜け出すためのセルフケア


「睡眠の質を上げる行動のきっかけに繋げるためには、まずは自分の睡眠状態を知ることや生活習慣を見直すことも大切です。無料のアプリやスマートウォッチなどで、手軽に自分の睡眠状態を知ることができるので、始めてみてはいかがでしょうか」

今回お話を伺ったのは……

第一三共ヘルスケア
第一三共ヘルスケア

第一三共ヘルスケア株式会社 経営企画部 事業開発グループ 企画戦略リーダー

松尾 健さん

機能性スキンケア製品などの研究・開発等に携わった後、2019年より事業開発担当として、 新規事業開発、M&A、 アライアンス等に従事。 2021年、「年に1度の睡眠診断運動」の立ち上げに参画。

Headshot of Nanita
Nanita
コミュニティリーダー

ウィメンズヘルスのコミュニティーリーダー。元ボクシングインストラクターの経験を持ち、ダンス・トレーニング・ランニングと様々なワークアウトに取り組み発信している。底抜けの元気さとポジティブエネルギーが強み。日々心と体をHAPPYにするため、まだ見ぬ境地へフルスピードで突進中。 

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