日本人女性がもっとも罹患するがんと言われるのが「乳がん」。国立がん研究センターによると、2019年には年間97,142人が乳がんに罹り、2020年に14,650人が乳がんで亡くなっている。今や、日本人女性の9人に1人が乳がんに罹るとも言われていて、決して他人事ではない。一方で、乳がんは、早期発見することによって生存率が高くなるがんでもある。その1つの手段として、アメリカでは超音波ブラなるものが誕生した。

超音波ブラで乳がんを早期発見する

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アメリカで、新しいフェムテックが誕生し、注目されている。その名も「超音波ブラ」。このブラを日常的に身につけることによって、乳がんの早期発見につなげると言う。

このブラを発明したのは、マサチューセッツ工科大学(MIT)助教授のカナン・ダーデビレン博士。自身の叔母が乳がんの進行型と診断されたことをきっかけに、乳がん検診用の装着可能な超音波パッチを開発することを思いついたんだとか。

6年の歳月をかけて、彼女とMITメディアラボの研究グループは、乳房の形状にフィットする小さなパッドで、リアルタイムで画像をキャプチャーするデバイスの開発に成功した。

この超音波パッチは、マンモグラフィに代わる、より快適で頻度の高い検査を提供。超音波診断装置に接続して電力を供給し、アプリを通じて鮮明な画像をスマートデバイスに送ることができると言う。

Wiredの取材に「こまめな検診が生存の鍵です」と、ダーデビレン氏は話している。

2023年7月、彼女のチームはこの技術に関する最初の概念実証論文を『Science Advances』誌に発表。スキャナーが71歳の女性の乳房にある直径0.3センチの嚢胞を発見できることを実証した。現在、より多くの参加者による大規模な試験の実施に向けて準備を進めており、MIT全体の女性教員の協力を得て、この技術をテストする予定だという。
また、前述の取材でダーデビレン氏は、この技術が乳がんだけでなく、身体の他の部位のモニタリングにも応用されることを想定しており、FDAの認可が下り次第、自身の会社を立ち上げて医療システムにライセンス供与する予定だと話している。十分なサービスを受けていない人々に手を差し伸べ、個人が天気予報をチェックするのと同じくらい簡単な方法で健康を管理できるようにすることを目指すとのこと。

乳がんは早期発見がキーポイント

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SandraMirey Photography//Getty Images

今のところ、日本にこの超音波ブラが上陸する段階ではないけれど、いずれ、こうした技術に簡単にアクセスできる日はきっとくると願おう。

日本では乳がん検診として、40歳から2年に1回、問診とマンモグラフィ検査(乳房エックス線検査)が推奨されている。これは、マンモグラフィ検査が、がんによる死亡率を減少する効果が認められているから。

一方で、2019年国民生活基礎調査によると、乳がん検診受診率は2022年 受診率47.4%、2019年 受診率47.4%、2016年 受診率44.9%、2013年 受診率43.4%という結果が出ている。国内の乳がん検診受診率は半数以下と、低い状況が続いている。

自治体も無料で乳がん検診を受けられるようにサポートしているので、乳がん検診を受けていない人は、ぜひ調べてみて。

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桑子 麻衣子
ライター

1986年横浜生まれ。2013年よりシンガポール在住。幼少期よりクラシックバレエの練習に励みバレリーナになることを目指していたが、思春期に恋愛に走ってしまう。ヨガインストラクター、アーユルヴェーダアドバイザーの経験を活かし、現在は国内外のウェルネスやフィットネスなど健康周りの情報を中心に発信するライターとして活動。根っからの健康オタク。
Instagram: @mic_kwk