『メンズヘルス』の睡眠アドバイザーで著書に『The Sleep Solution: Why Your Sleep Is Broken and How to Fix It』を持つW・クリス・ウィンター医学博士によると、夜更かしした日の翌朝は、スヌーズボタンを1~2回押しても問題ない。でも、これが習慣化して、毎日数回スヌーズボタンを押すようになると、体に好ましくない変化が現れることもある。

「二度寝できる日の安心感は最高です」とウィンター博士。「でも、束の間の安心を得るために払う代償は想像以上に高いかもしれません」

頭は二度寝を求めているかもしれないけれど、スヌーズボタンを押すのは避けるべき。
オーストラリア版ウィメンズヘルスから詳しく見ていこう。

大切なホルモンが分泌されない

起床と共に睡眠ホルモンのメラトニンが減り始ると、ストレスホルモンのコルチゾールが増えてきて、それを皮切りに他のホルモン(セロトニン、ドーパミン、アドレナリンなど)も急増する。こういったホルモンは人を動く気にさせるので、タイムリーに分泌させることが大切。

でも「スヌーズボタンを何回も押していると、脳がホルモンを分泌するタイミングを失います」とウィンター博士。こうなると、ホルモンが通常通りに分泌されず、スッキリしない状態が続いてしまう。

睡眠酩酊状態になる

ウィンター博士いわく“睡眠酩酊”は、認知プロセスのスイッチがスムーズに入らない状態を指す言葉。寝不足などでスヌーズボタンを乱用すると睡眠酩酊状態となり、まるで酔っぱらっているかのように頭がボーッとしてしまう。

この状態では頭が混乱しやすくなるため、決断が難しくなるばかりか選択を誤って「とても大事な勤務評価を適当に済ませてしまうこともあります」とウィンター博士。

朝一で便が出なくなる

ウィンター博士によると、睡眠と消化は密接に関連しており、どちらも概日リズムに依存している。そして、通常は起床と共に蠕動運動(筋肉を波のように収縮させて消化管内の食べ物を動かすこと)が始まるので、早朝は便が出やすい。

でも、スヌーズボタンを押してしまうと、お通じに必要なプロセスが滞り、おなかの張りや便秘が生じる。

変な時間におなかが鳴る

ウィンター博士によると、朝は適度な空腹で目覚めるのが理想的。

食欲を調節するホルモンのグレリンは睡眠中に減少し、起床と共に増加する。でも、スヌーズボタンで寝たり起きたりを繰り返すと、このグレリンの産生プロセスが狂ってしまい、変な時間に空腹を感じることに。

グレリンの増加が早すぎれば寝る前に食べたくなるし、遅すぎればランチタイムが待てなくなる。ウィンター博士が言うように、いずれのシナリオも極力避けたい。

フラフラする

米睡眠障害センター『Comprehensive Sleep Medicine Associates』の睡眠エキスパート、ジェラルド・シモンズ医学博士によると、段階的に起きる人にはスヌーズボタンが役に立つ。例えば、目が覚めたあと3~5分かけてベッドから出るような人。

でも、その3~5分で再び眠りにつこうとすると、1日が余計つらくなる。通常、極度のフラフラ感は、あなたの体が混乱し、もっと寝るのか起きるのか(ゆえに朝用ホルモンの分泌が必要なのか)の判断を下せないときに生じる。

シモンズ博士によると、このフラフラ感が睡眠障害の可能性を示していることもある。睡眠障害には、睡眠不足症候群(その名の通り慢性的な寝不足)や閉塞性睡眠時無呼吸症候群があるけれど、後者では喉の筋肉が緩みすぎたり舌が落ちたりするせいで気道が一時的に塞がれる。そのため体は、あなたを無理に起こしてでも気道を確保しようとする。その際に生じるのが、大きないびきや荒い鼻息。

二度寝や三度寝をしないと絶対に起きられないという人は、睡眠障害の検査を受けたほうがいいかもしれない。

※この記事は当初、アメリカ版『メンズヘルス』に掲載されました。

※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: WH Staff Translation: Ai Igamoto