不快なPMSに何年も付き合っていれば、こうした症状(疲労感や膨満感、気分のムラなど)にはさすがに慣れてきたかもしれない。最近は、生理日を追跡できるアプリのおかげで、ナプキンやタンポンを買い揃える時期まで予測できるようになった。だけど、月に2回も生理が来てしまったら? 予定も気分も完全に狂い始めてしまうはず。

パニックになる前に知っておこう。生理が月に2回も来ることは、実はあなたが思っている以上によくあること。ニューヨークに拠点を置く産婦人科医のロレイン・クリソマリス=ヴァラシアディス医学博士によると、同じ種類の出血を伴う通常の生理が2回くる場合もあれば、一方では通常の出血があり、もう一方では付着する程度の点状の出血がある場合もある。最終的には、なぜそれが起きているのかによって状況が大きく異なるそう。

「不規則な出血が起こる場合は、年齢や病歴、家族歴によってまったく異なる影響を与えます」と話すのは、『The Complete A to Z for Your V』の著者であり、産婦人科医のアリッサ・ドウェック医学博士。「ですから、生理が長引いたり、月に何度も出血が起きたり、不安を覚えるような出血がある場合は、すぐに産婦人科を受診しましょう」

生理が月に1回以上来るのは遺伝も関係しており、大した問題でないケースも多い。これは、生理周期の長さが関係しているとか。「生理周期が21日の女性もいますし、40日の女性もいますが、どちらも正常です」 と、クリソマリス=ヴァラシアディス医学博士。「生理周期が4週間で1サイクルではなく、3週間で1サイクルの女性も当たり前にいるのです」

ミシシッピ州グリーンビルに拠点を置く産婦人科医のレイクシャ・リチャードソン医学博士によると、平均的な生理周期は21日~35日とされており、2日~7日続く場合がほとんど。つまり、あなたがこの範囲の中の短い方にいるなら、1カ月に2回生理が来ることになる。さらに、約40~60%の女性が、生涯を通してなんらかの不規則な月経を経験しているとのこと。

woman with stomach pain staying home
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一方で、約5%の女性は中間期出血を起こす可能性があると話すのは、マウントサイナイ医科大学の産婦人科学と生殖科学の准教授を務めるアンナ・リー医学博士。「中間期出血とは、黄体形成ホルモン(LHサージ)の増加によって、排卵期に出血が起こります。通常は軽い出血で、生理と生理のちょうど中間に起こります。2~3日続くのが一般的です」

では、もともと生理周期が短くない場合は? 生理だと思っていた出血が、実は身体的疾患や避妊に関連する出血である可能性も考えられる。深刻でないケースも多いけれど、医師の診察を受けることで、出血の原因を特定し、必要に応じて早期に治療を開始することができる。

そこで今回は、1カ月に2回も生理が来る15の理由と、生理周期を正常に戻すための対処法や治療法をイギリス版ウィメンズヘルスから見ていこう!

1. 避妊を忘れている

「経口避妊薬を飲み忘れたり、デポ・プロベラ注射を打ち忘れたりすると、不正出血を起こします」と、リチャードソン医学博士。「選んだ避妊法を正しく使用しなければ、体内のホルモンの量が減少し、いつでも出血が起きてしまうでしょう」。

避妊を始めたばかりの人もまた、不正出血を起こす可能性がある。「腕に埋め込む避妊インプラントや、子宮内避妊器具(IUD)を使用する避妊法は、生理とは関係のない中間期出血や付着する程度の出血と関連づけられています。とくにこの症状は、インプラントや子宮内避妊器具を装着した直後の最初の数カ月間によくみられています」と説明するのは、オレゴン州ポートランドを拠点とする産婦人科医であり、『Let’s Talk About Down There』の著者、ジェニファー・リンカーン医学博士。「腕のインプラントに関しては、どれだけ長く使用していても出血が続く可能性はありますが、子宮内避妊器具を使用する人の多くは、時間が経つにつれてみられなくなっています」

対処法は?

リチャードソン医学博士いわく、忘れた場合の指示に従って避妊を再開すれば、出血は止まる。次の生理が来るまでの間は、緊急避妊薬を服用して妊娠を防ぐこと。

2. 妊娠している

妊娠していれば生理は来ない。だけど、「信じられないかもしれませんが、妊娠すると不正出血を起こす女性もいるのです」と、ドウェック医学博士。妊娠中の出血は、とくに妊娠初期に多くみられている。激しい運動やセックスをした後で、またはポリープ (子宮、または子宮頸部の内部で増殖し、自然に出血を起こす可能性がある良性病変)によるものなど、さまざまな理由で出血が起こるとされている。

ニュージャージー州のサミット・メディカル・グループの女性とこどもホットラインのチーフで産婦人科医のクリスティーン・マスターソン医学博士いわく、ごく稀ではあるが、子宮外妊娠(受精卵が子宮外に着床する)では、妊娠超初期に不正出血を引き起こす可能性もある。

対処法は?

妊娠検査薬で確認すること。生理がまだ来ていない場合は、妊娠検査薬で偽陰性が出ることは比較的よくあるので、注意しておく必要がある。通常の生理の後に予定よりも早い出血があった場合は、生理予定日の約1週間後にもう一度検査してみよう。

子宮外妊娠も妊娠検査薬で陽性反応が出るけれど、治療せずに放置しておくと、緊急事態になりかねない。病院で超音波検査を受け、子宮に着床しているかどうかを診てもらうこと。子宮外妊娠の場合は、生命を脅かす合併症を防ぐために、投薬やほかの治療を受ける可能性がある。

3. 子宮ポリープ、子宮頸管ポリープ、子宮筋腫がある

ポリープや子宮筋腫など、子宮の疾患(子宮にできる良性病変や腫瘍)は非常に一般的であり、ホルモンの問題に関連している。「子宮ポリープは、月経と月経の間で出血を引き起こす可能性があります」ドウェック医学博士。とくに、性交時などでポリープに触れた場合は、「痛みや腰痛、腹部膨満感、貧血、性交痛、自然出血を起こすことがありますが、これは月経とは関係のない出血です」

対処法は?

産婦人科を受診して、超音波検査や子宮内膜検査、子宮鏡検査 (子宮内にカメラ機器を挿入し子宮内部を拡大観察する検査法)を受ける。プロゲスチンや、ゴナドトロピン放出ホルモン、アゴニストなどのホルモン療法は、症状を軽減したり、子宮筋腫を縮小させる効果がある。

場合によっては、腫瘍を取り除くための手術や、そのほかの医学的な処置が必要になることもある。「通常は、腫瘍を取り除くことで治癒し、不正出血の原因がほかにないことを確認します」と、リチャードソン博士。

4. 性感染症

腟や子宮頸部の感染症は、さまざまな理由で非常に厄介なもの。生理以外で出血を起こすこともある。「細菌性腟炎やトリコモナス症のような細菌による子宮頸部の炎症や感染症は、不正出血を引き起こします」と、リチャードソン博士。

性感染症(STI)の多くは、ほかの症状を伴わないことが多いけれど、悪臭がしたり、灰色や緑がかった色、白いおりものが出ることもある。陰部のかゆみや灼熱感、排尿時の灼熱感やヒリヒリする痛みがあるのも特徴的。

対処法は?

できるだけ早く産婦人科を受診すること。性感染症は、通常は抗生物質で迅速かつ効果的に治療することができる。「トリコモナス症のような性感染症に罹ると、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)やほかの性感染症に罹るリスクが高まることが研究で示されています」 と、リチャードソン博士。

5. 甲状腺が正常に機能していない

甲状腺機能低下症や甲状腺機能亢進症では、生理が1カ月に2回来ることがある。「甲状腺は、月経と排卵を調節するホルモンと同様に、視床下部と脳下垂体から分泌されるホルモンによって調節されています」と、ドウェック医学博士。「一方がオフになれば、もう一方も影響を受ける可能性があるのです」

甲状腺機能亢進症 (甲状腺が活発に活動し、甲状腺ホルモンを過剰に産生する状態)になると、意図せず体重が減少したり、緊張や不安を感じたり、心拍数が上がったり、睡眠障害を抱えることがある。甲状腺機能低下症 (甲状腺ホルモンが不足する状態) は、体重増加や便秘、疲労、冷え性などの症状が現れる。

対処法は?

甲状腺の状態は血液検査で診断され、通常は薬物療法で治療される。甲状腺機能低下症の薬を飲むとホルモンの数値が改善し、症状は落ち着き、状態はよくなる。甲状腺機能亢進症の治療は、甲状腺がホルモンを過剰に産生しないように薬で抑えることで、数週間以内には症状が改善されるそう。ほとんどの場合はこの治療法で解決するけれど、放射性ヨード内用療法や手術が必要になるケースもある。

6. 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

米国立衛生研究所によると、多嚢胞性卵巣症候群は、8~20%の女性に影響を与えているホルモンのバランスが崩れる疾患。「これは、排卵の頻度が減ったり、排卵が起こらなかったりして、エストロゲンやプロゲステロン、テストステロンのバランスが崩れた結果です」と、ドウェック医学博士。「不正出血は、多嚢胞性卵巣症候群の数ある症状のうちの一つです」

多嚢胞性卵巣症候群は不正出血の原因ではあるけれど、実際には、多くの女性が月経不順や無月経を経験している。そのほかの一般的な症状としては、体重を維持するのが困難になったり、にきびができたり、一般的に男性に毛髪が生える部位(上唇の周辺や顎など)に毛が生えてきたり、受胎能力に問題がみられている。

対処法は?

多嚢胞性卵巣症候群を疑う場合は、病院で内診や超音波検査、血液検査をして、医師の診断を受ける必要がある。多嚢胞性卵巣症候群が原因で出血している場合は、生理周期を調節するために、避妊薬やプロゲステロン療法を受ける可能性が高いそう。また、多嚢胞性卵巣症候群の症状として体重が増加することは多いので、体重を減らすための生活習慣の改善を医師に提案されるかもしれない。

7. 前がん細胞、がん細胞がある

子宮か子宮頸部のいずれかに前がん細胞やがん細胞が見つかると、不正出血が起こることがある。「子宮頸部や子宮にできた腫瘍は、不規則に出血を引き起こすことがあります」と、ドウェック医学博士。また、ある研究では、生理不順が卵巣がんにつながる可能性は高いので、早期発見が重要であることも示されている。

対処法は?

子宮がんと子宮頸がんは、それぞれ超音波検査と子宮生検、子宮頸部細胞診、子宮頸部生検で診断される。不正出血にほかの原因が見当たらない場合は、すぐに産婦人科を受診しよう。

8. 深刻なストレスを抱えている

woman in depression closed face with hands and crying in bed melancholy mood, mental health life problems
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マスターソン医学博士によると、過度なストレスは、頻発月経や無月経を引き起こす恐れがある。なぜなら、毎月の卵巣で排卵を起こすホルモンが作られる場所は、ストレスホルモンが分泌される場所と同じだから。

基本的に、仕事で忙しかったり心配事が多かったりすると (それが睡眠不足の原因にもなっている場合はとくに)、これらのホルモンは誤作動を起こして、生理周期に悪影響を及ぼすことがある。

対処法は?

精神的に限界を感じているなら、瞑想やヨガをしたり、ストレス管理をサポートしてくれる専門家の力を借りることも検討してみて。心と体にどれだけの効果があるのか、きっと驚くことになると、マスターソン医学博士はアドバイスしている。

9. 最近旅行していた

旅行から戻ると予定よりも早く生理が来たなら、その出血は旅行のせいにできるかもしれない。家からどれくらい離れた距離に旅行に出かけていたかにもよるけれど、遠出の旅行は生理に影響を与えやすい。

「時差がある場所に行ったり、夜勤で働いたりすると、概日リズムが崩れるので、ホルモンに変化が生じて生理を引き起こすことがあります」と、マスターソン医学博士。

対処法は?

旅行が一回きりだとしたら、自然に解決するので問題はない。だけど、定期的に夜勤で働いていると、生理が不規則であることが「普通」になってしまうかもしれない。最低でも、6時間の睡眠をとるように心がけよう。寝室では睡眠を妨害するような騒音や光を遮断し、寝る前はスマホなどの電子機器を触らないようにして、睡眠の質を最大に上げること。

すでに深夜勤務の影響を受けていると感じている場合は、スケジュールの再調整が可能かどうか、上司に相談してみよう。シフト勤務は時間の経過とともに健康に悪影響を及ぼし、不安や抑うつ、消化器系の問題、心臓病のリスクを上げる恐れがある。

10. 更年期が始まっている

クリソマリス=ヴァラシアディス博士によると、平均閉経年齢は51.4歳ではあるが、閉経する前の更年期障害は、46歳から48歳くらいの早い時期から始まることがある。「実際には、2週間おきに生理が来ることもあれば、2、3カ月ごとに生理が来ることもあります。生理周期は不安定になります」と、クリソマリス=ヴァラシアディス博士。

マスターソン医学博士によると、通常よりも生理が重くなることがある。そのほかに注意すべき症状としては、ほてりや寝汗、腟の乾燥、睡眠障害などがある。

対処法は?

あまりできることは多くなく、自然な成り行きに任せるしかないけれど、産婦人科で診察を受け、ほかになにも異常がないことを確認したら、投薬やほかの治療法などで、更年期障害全般の影響を緩和する方法がある。ホルモン補充療法では、エストロゲン値を上げるために錠剤を服用することで、不快感を和らげ、閉経に伴う骨量の減少を抑えることもできる。

11. 体重が変動している

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急激な体重の増減や過度な運動は、排卵を促すホルモンに影響を与えるので、生理周期にも変化を与えることになる。

「激しい運動をしていたり、低体重になっていたりすると、体は排卵のプロセスを止めます。体は飢餓状態にあると思い込み、子供を産むのにはよくない時期だと判断するからです」と、マスターソン医学博士は説明する。「ですが、極端に太りすぎても、普段より頻繁に不正出血を引き起こすことがあります」

対処法は?

生理不順の原因が体重にあると思うのであれば、医師の診察を受けること。体重増加を助長する作用のある薬物治療など、調べてみる価値があるあなたに適した方法が見つかるかもしれない。

12. 子宮内膜症

子宮内膜症とは、子宮内膜が子宮外で発育・増殖する疾患のこと。つまり、毎月剥がれ落ちて体外へ排出される子宮内膜の量が増え、月経の頻度や量が増えることになる。生理痛がひどくなったり、吐き気や倦怠感、性交時の痛み、排便時の痛みなどの症状が現れることもある。

対処法は?

まずはかかりつけ医に相談しよう。超音波検査や内診、場合によってはMRIや生検などの検査も受ける必要がある。生理不順の原因が子宮内膜症である場合は、避妊のための処方箋や、痛みを軽減して子宮内膜組織の成長を遅らせるのに役立つホルモン療法を受けることがある。

13. 出血性疾患

出血性疾患は、経血の量が非常に多い場合に診断されるとリンカーン医学博士は説明する。「これが、中間期出血につながる可能性もあります。生理が始まったばかりの10代の若い女性はとくにその傾向があります」。フォン・ヴィレブランド病は、大量出血を引き起こすもっとも一般的な出血性疾患であり、血液が正常に固まらず、出血が止まりにくい。

対処法は?

医師の指導を受けている場合は、継続して経口避妊薬を用いることで、生理による出血を完全に回避することができるそう。また、血液凝固を促進させたり、血栓の形成を助けるフォン・ヴィルブランド因子の量を増加させる薬が処方されることがある。

14. 最近アフターピル(緊急避妊薬)を使った

アフターピルを服用した直後に出血した場合の理由は、アフターピルに含まれるホルモン値が、体内で放出されるホルモン値よりやや多いから。その結果として、消退出血が起こることがある。リンカーン医学博士はこの出血について、 「短期間で終わり、体に害を及ぼすことはない」と話している。

対処法は?

この場合の出血はなにも問題ないけれど、次の生理まで待って妊娠していないかを確認するか、早めに産婦人科を受診して正確な診断を受けることが望ましい。生理不順を避けるには、アフターピルを避妊法として利用するべきでないことだけは、心に留めておくべき。通常の避妊法をまだ使用したことがない場合は、避妊の選択肢について、産婦人科医やかかりつけ医に相談しよう。

15. 子宮腺筋症

子宮腺筋症は、生理が不順になるだけでなく、生理時に強い痛みやけいれんを伴うことがある。子宮内膜を構成する組織が、「子宮の深部まで侵入して、子宮内が血液で充満した状態になります(水風船を思い浮かべるとわかりやすい)」と、リンカーン医学博士は説明する。

対処法は?

子宮腺筋症は治療が難しいので、生理を止めたり、生理に関連するほかの症状を軽減するために、ホルモン避妊薬や非ステロイド性抗炎症薬、ほかの種類のホルモン治療などを組み合わせて処方されることがあるそう。より積極的に治療を行う選択肢としては、子宮に栄養を送る血管を遮断する子宮動脈塞栓術がある。その後、子宮を摘出するために子宮摘出術が必要になる場合もある。

※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: THE EDITORS OF WOMEN'S HEALTH FOR WOMENSHEALTHMAG.COM Translation : Yukie Kawabata