眠れない人は多い。事実、イギリスの成人の推定約39%は一晩中ぐっすり眠ることができておらず、1日の睡眠時間が7時間を下回る人も少なくない。でも、睡眠は健康に不可欠なので、ヘルシーな睡眠習慣を築き、それを可能な限り優先することが大切。

でも、具体的に何をすればいいのか分からない? もう心配はいらない。人間睡眠科学の専門家で神経科学者のマシュー・ウォーカー教授が、睡眠の質を高めるためにするべきことを教えてくれた。20年に及ぶ研究と彼の睡眠研究センターが発表した100本以上の論文をもとに、ウォーカー教授が伝授する極上のアドバイスとは?

スヌーズボタンを押すのをやめる!

朝6時30分に目覚ましが鳴ったのに、5分おきにスヌーズボタンを押してしまい、気づけば6時50分。もうひと眠りしたい気持ちは分かるけれど、ウォーカー教授はスヌーズボタンに断固反対。2005年の彼の論文によれば「スヌーズ機能を使うと、心血管系を短時間のうちに何度も驚かすことになる。これを週に5日繰り返せば、心臓と神経を再三酷使することになりかねない」

だから、最初の目覚ましで起きる習慣をつけること。

デカフェも含めカフェインを断つ

ウォーカー教授によると、睡眠にはアデノシンという化学物質が関わっている。起床から12~16時間が経過してアデノシンの量がピークに達すると、私たちは眠くなる。でも、カフェインを摂取すると、この眠気が“ミュート”になってしまう。カフェインの効果は摂取から30分後をピークに下降の一途を辿るけれど、肝臓とシトクロムという酵素の働き次第で、5~7時間は体内に残る。また、カフェインを取り除くのにかかる時間は加齢とともに長くなる。

デカフェのコーヒーや紅茶なら大丈夫と思うかもしれないけれど、ウォーカー教授いわくデカフェ=ノンカフェインではない。デカフェのコーヒー1カップには、通常のコーヒー3分の1カップ分のカフェインが含まれているので、寝る前に飲むのは避けるべき。

眠りが浅い人はパワーナップもやめて

パワーナップの新しいメリットは次から次に発見されている。ウォーカー教授によると、寝不足の日に集中力を高めたいときは確かにパワーナップが効果的。でも、パワーナップで「脳機能(記憶力や判断力)が回復するわけではない」。

また、パワーナップは「夜間の眠気を和らげる」ため、夜の寝つきが悪い人はパワーナップを取らないで。

早朝のエクササイズのために睡眠時間を削らない

よく眠れなかった日や夜更かしで睡眠時間が短かった日は、早朝のエクササイズを諦めて。ウォーカー教授いわく、アスリートの中には本来なら8時間眠れるところをコーチに無理やり起こされて、睡眠時間が6時間になってしまう人もいる。「この最後の2時間は、前日の運動技能の記憶を整理して、翌日のパフォーマンスを20~30%高めてくれる大事なフェーズです」とウォーカー教授。「アスリートを無理に早く起こすことで、コーチたちは何の気なしにアスリートからゲームの主導権や最高のパフォーマンスを奪っています」

寝不足で頭がボーッとしているときは、ジムを諦めてもう1~2時間寝たほうがいいかもしれない。

※この記事は当初、『Mail Online』に掲載されました。

※この記事は、『Netdoctor』から翻訳されました。

Text: Becky Fletcher Translation: Ai Igamoto