お通じがよい人は、トイレから出た瞬間にジーパンが緩くなり、体が軽くなった感じがするはず。これは気のせい? それとも、排便後は本当に体重が軽くなる?

どうやら、その答えはYES。体重は排便で本当に変わるけれど、ポッドキャスト『The Flourish Heights』のホストで公認管理栄養士のヴァレリー・アジマンによると、変わると言ってもわずかだし、排便で体重を減らそうとしてはいけない。

ウェルネスカンパニー『Nutritious Life』創設者兼CEOで公認管理栄養士のケリ・グラスマンによれば、その人のボディサイズや排便の頻度にもよるけれど、排便で減る体重はせいぜい125~500g。そして、著書に『The Pinterest Diet』を持つ公認管理栄養士のミッチ・デュランによると、3~4日ぶりの排便後は当然ながら体重が減りやすい。

でも、アジマンいわく排便後は、体重の変化よりも便の様子に注意を払ったほうがいい。便の様子からは、食物繊維や水分の摂取状況、基礎疾患の有無といった多くのことが分かる(便のニオイから体の健康状態が分かることも!)。不安なときは、ブリストル便性状スケールで便の健康状態をチェックしよう。

とはいえ、お通じが体重に影響するのは事実だし、お通じを改善するのは健康のためにも大切なこと。そこで今回は一流栄養士の面々が、便の重さだけでなくお通じを改善し体重増加のもととなる便秘を防ぐ方法も教えてくれた。アメリカ版ウィメンズヘルスから詳しく見ていこう。

便の重さは?

便の重さは最大で1.8kg。ダイエット中の人にとってはバカにならない数字なので驚くかもしれないけれど、便は比較的重い物質からできている。マサチューセッツ州立大学メモリアル・ヘルスケアによると、便の約75%は水で、残りは細菌、粘液、古い血球、そして消化されなかった食べ物。

でも、体重計の数字は、お通じの状態に合わせて増えたり減ったりするものなので、1.8kgというのも実は大した重さじゃない。お通じが滞ると体重が少し増え、お通じが良くなると体重が少し減るというだけの話。

つまり排便で体重が大幅に変わることはなく、体が5kg軽くなった感じがしても、それは体重が5kg減ったからではなくて、おなかの張りが減っただけ。

排便でカロリーは消費される?

されるけれど、大きな数字は期待できない。「排便でカロリーが消費されるのは事実ですが、排便は呼吸や食事と同じ日常的な機能の1つに過ぎません」とアジマン。グラスマンによると、排便で体重が減ったからといって、体脂肪が減って体が引き締まったことにはならない。

体重には、ホルモン、塩分の摂取量、服用中の薬といった多数の要素が関係している。よって「体に入る物と体から出ていく物の量だけで体重が決まるわけではありません」とアジマン。

おなかの張りと体重増加の関係性

消化器系に空気やガスが溜まると、おなかがパンパンに張って痛くなる。でも、おなかが大きく見えるからといって、実際に体重が増えているとは限らない。

「排便後は、おなかの張りが治まるのでジーンズが履きやすくなり、体がワンサイズくらい小さくなったような感じがします」とデュラン。「でも、それで『体重が減った!』と言い切ることはできません」

ダイエット中は毎朝ほぼ同じ時間に服を脱いで体重をはかるべき。そうすれば、排便の有無に体重が左右されにくい。「朝一でトイレに行かなければならないときは行ってください」とデュラン。「でも、便意を感じないときは、無理に出して体重を減らそうとしないでください。どっちみち、それで体重が劇的に変わることはありませんから」

お通じに影響する要素とは?

排便で体重が大幅に減ることはないけれど、「食物繊維が豊富な食生活を送っていれば、お通じが規則正しくなるだけでなく、体重も減りやすくなります」と説明するのは、公認管理栄養士のブリジット・ザイトリン。

なぜ? 食物繊維を十分に摂取すれば、消化管内の食べ物がスムーズに押し出されて、便秘を未然に防ぐことができるから。「食物繊維は消化管を刺激して、蠕動(ぜんどう)運動を促します」とザイトリン。また、食物繊維には一部のがん(特に結腸がん)を防ぎ、血糖値を調節し、コレステロール値を下げる作用もあることが過去の研究で分かっている。

そして、食物繊維ほど満腹感を与えてくれる栄養素は少ない。ザイトリンいわく食物繊維はフルーツ、野菜、全粒穀物という3つの食品群に含まれている。「食事や間食で必ず食物繊維を摂っているということは、ダイエットや生活習慣の改善に役立つ食品群のいずれかが摂取できているということです。そういう人は、あまりヘルシーとは言えない物を食べないようにしている可能性も高いですね」

でも、食物繊維の摂りすぎには気を付けて。ザイトリンいわく、女性にとって理想的な摂取量は1日25~30g。それを超えると、便秘ばかりか胃腸障害の症状まで現れることがある。米デューク大学によると、食物繊維を70g以上摂取する日が続くと、おなかの張り、ガス、下痢、腹痛が生じたり、食欲が低下したりすることも。また、食物繊維の過剰摂取は栄養の吸収不良だけでなく、深刻な腸閉塞を引き起こすこともある。

食物繊維を摂りすぎないようにしたいときは、朝食で食物繊維が豊富な食品(ブルーベリーやギリシャヨーグルト)1カップを摂取して。ザイトリンいわくギリシャヨーグルトは、お通じを促す善玉菌のエサになるプロバイオティクスを含んでいるので特にオススメ。それに加えて、昼食と夕食の両方でこぶし2つ分の野菜を摂れば、消化器系と体重が安定してくる。

ただ、食物繊維はパズルの1ピースにすぎないので、お通じに影響する食事以外の要素も考慮して。お通じが悪くなる要因には、以下のものが挙げられる。

・水分不足
・ストレスレベルが高い
・スケジュールの変化や頻繁な移動(旅先では便秘になりがち)
・PMS、妊娠、閉経などによるホルモンレベルの変化
・一部の市販薬や処方薬
・ミールプランやカロリー摂取量の変化
・運動不足

もちろん、その逆もまたしかり。一部の薬や運動のしすぎ、水分やカフェインの摂りすぎで排便の頻度が高くなったり便が緩くなったりすることもあるので、大事なのは結局バランス。

自分にとっての“普通”とは?

“ヘルシー”または“ノーマル”と言える排便回数は人によって違うため、絶対的な数字がない。でも、1日に3回~3日に1回は一般的にヘルシーと言えるので、その範囲内で痛みや異常がないときは大丈夫。

逆に痛みや異常があるときは必ず医師に相談を。場合によっては、胃腸科専門医を紹介されることもある。米ペンシルバニア大学メディカルセンターによると、以下の症状が長期にわたって(2~3日以上)続くときは迷わず病院を訪れるべき。

変な色の便(青白い、赤い、黒い便)しか出ない、
 または食生活を変えていないのに便の色が変わった
・排便の頻度が急に変わった
・血便が出る
・排便に激しい腹痛が伴う
・便が浮く(感染症のサインかもしれない)
・便のニオイが普段と違う、または異常に強い

お通じが悪くなると体重が増えたように感じるかもしれないけれど、そんなことは決してない。おなかが張って大きくなるからピンチのように思えるけれど、実際は1kg弱の便が一時的に溜まっているだけ。

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Zahra Barnes, Sarah Bradley and Addison Aloian Translation: Ai Igamoto