長生きダイエットは、その名の通り寿命を延ばすというけれど、健康によいといわれるほかの種類のダイエットとなにが違うの? 今回は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから詳細を見ていこう。

長生きダイエットは、米南カルフォルニア大学寿命研究所ディレクターで生化学者のヴァルテル・ロンゴ博士のアドバイスに従って食べるという食事法。ロンゴ博士は、ファスティングの役割および栄養が細胞・エイジング・罹患リスクに及ぼす影響の研究で知られている。

長生きダイエットは高齢者を対象としているけれど、若い人が取り入れても問題ない。ロンゴ本人は、この食事法に従って120歳まで生きるつもりなのだとか。

長生きダイエットで勧められる/勧められない食べもの

長生きダイエットで勧められる食品は、野菜(とくに緑の葉物野菜)、フルーツ、ナッツ、豆類、オリーブオイル、水銀が少ないシーフード。

よって、このダイエットの大部分はプラントベース。プラントベースの食生活にはビタミン、ミネラル、食物繊維、抗酸化物質が多く、飽和脂肪と塩分が少ない。これは健康を促進するうえで大事なポイント。

逆に長生きダイエットで避けるべきとされるのは、肉と乳製品の過剰摂取および加工糖と飽和脂肪が豊富な食品。

乳製品をカットしたくない人には、牛ではなくヤギか羊のミルクが勧められる。でも、ヤギや羊のミルクは栄養組成が牛乳と少し違うだけで、牛乳より体によいという証拠はない。

長生きダイエットでは発酵乳製品(チーズやヨーグルト)の摂取も推奨される。発酵乳製品は、どのミルクよりも幅広い種類の善玉菌を含んでいるため体によい。

ほかの食事法やガイドラインとの類似点

このような食事法は珍しくなく、オリーブオイルを特徴とする地中海式ダイエットとはとくに似ている。地中海式ダイエットは、発病リスクを下げて長生きを促すことが十分過ぎるほど証明されている食事法。

長生きダイエットは、オーストラリアの食事ガイドラインにも多くの点で類似している。

オーストラリアの食事ガイドラインで推奨される食品の3分の2はプラントベース(穀物、豆類、フルーツ、野菜)。このガイドラインには、タンパク質やカルシウムをプラントベースの食品から摂取するための方法も記載されている(タンパク質は乾燥豆や豆腐から、カルシウムは豆乳、大豆ヨーグルト/チーズから)。

長生きダイエットの4つの特徴

1.インターミッテント・ファスティング

長生きダイエットには、インターミッテント・ファスティングの側面もある。

インターミッテント・ファスティングでは、16~20時間の時間枠内は断食して残りの4~8時間で食べるか、週に2日だけ摂取カロリーを500~700kcalに抑えて残りの5日は普段通りに食べることが多い(後者は“5:2ダイエット”とも呼ばれる)。でも、長生きダイエットでは、あらかじめ決められた12時間のうちに食べ、就寝前の3~4時間はなにも食べないことが勧められる。

これまでの研究結果は、インターミッテント・ファスティングをするとインスリン抵抗性が改善し、血糖値が安定しやすくなる可能性を示している。その結果、2型糖尿病、心疾患、肥満といった慢性疾患のリスクが下がることも考えられる。

2.健康的な体重の維持

長生きダイエットのもとでは、体重過多の人の食事が1日2回(朝食と昼食または夕食)に制限される。これは摂取カロリーを抑えて体重を減らすため。

また、低糖質のスナックも1日2回までに制限される。飽和脂肪、塩分、糖分が高いもの(俗にいう超加工食品)は、栄養価が低く健康に悪いため、とくにNG。

3.カラフルな食事

長生きダイエットでは、多くの国の食事ガイドラインと同様、栄養価の高い食品の摂取が勧められる。ポイントはプラントベースの食品を豊富に取り入れて、それぞれの食品群から幅広いアイテムを摂取すること。

野菜やフルーツの色が違えば、そこに含まれる栄養素も違うので、食卓をカラフルに彩って。シリアル、パン、パスタ、お米は全粒タイプにすることで栄養価が上げられる。

4.タンパク質の摂取量

長生きダイエットでは、1日に体重1kgあたり0.68〜0.80g(体重70kgの人であれば1日47~56g)のタンパク質の摂取が勧められる。参考までに、以下の食品/量でタンパク質10g。※

・Sサイズの卵 2個}
・チーズ 30g
・脂肪の少ない鶏肉 40g
・牛乳 250ml
・レンズ豆 3/4カップ
・豆腐 120g
・ナッツ 60g
・豆乳 300ml

※上記オーストラリア版ウィメンズヘルスの数値

これくらい簡単に摂れると思うかもしれないけれど、長生きダイエットの主な対象者はタンパク質が不足しがちな高齢者。

この食事法では、タンパク質の大半をプラントベースの食品か魚から摂取するべき。つまり赤身肉を完全にカットするなら、そこに含まれる栄養素をほかの食品で補う必要がある。


長生きダイエットのデメリット

長生きダイエットでは、3~4日おきにマルチビタミンとミネラルのサプリメントの摂取が必要となる。ロンゴ博士によると、これは栄養不足を防ぐための戦略で、体に悪いことはない。

でも、世界がん研究基金、英国心臓病支援基金、米国心臓協会といった数多くの団体は、がんや心疾患の予防を目的としたサプリメントの摂取を勧めていない。

サプリメントは、血液検査で特定の栄養不足が明らかになったときだけ、医師の指示に従って摂取するべき。一部のビタミンとミネラルは、摂りすぎると有害無益だ。

でも、それぞれの食品群から幅広いアイテムを取り入れているのなら、栄養ニーズが満たせているはずなのでサプリメントは必要ない。

結論

長生きダイエットには、健康によいことが証明された食事法の要素が数多く含まれているけれど、どれも目新しいことではなく、多くの人がすでに実践していることばかり。いままで通り、慢性疾患の発症リスクを防ぐような健康的な食生活を送っていれば、結果的に寿命が延びることは十分に考えられる。

また、長生きダイエットでは触れられていないけれど、健康維持と長寿には運動も重要であることを忘れずに。

※この記事は当初、『The Conversation』に掲載されました。

※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Evangeline Mantzioris Translation: Ai Igamoto