ずっと以前から、最も望ましい健康状態を保つために必要なのは「1日1万歩を目指すこと」だとされてきた。しかし、医学誌『ネイチャー メディシン』に新たに発表された論文によると、より少ない歩数でも同様の効果を得られる可能性があると考えられるそう。

研究チームはアメリカで100万人以上を対象に行われている研究プログラム「All of Us」から、電子カルテの情報やアンケートへの回答、ウェアラブルデバイスから収集されたデータを入手して分析。その結果から、1日8200歩でも、多くの慢性疾患を予防し、体重を維持することができるとみられることがわかったという。

Fitbitのトラッカーを1日10時間以上装着しており(使用期間の中央値は4年)、調査への協力に同意している6000人以上の歩数を調べたところ、これらの人たちの1日あたりの歩数は、6866.8~9826.8歩だった。

そして、被験者のうち、歩数が多い人ほど、肥満や睡眠時無呼吸症候群、胃食道逆流症(GERD)、うつ病になる可能性が低いことがわかったという。さらに、糖尿病や高血圧などの病気を防ぐのに必要とみられる歩数は、1日あたり約8200歩であることも確認された。

一方、1日の歩数を増やし、8000~9000歩程度にした場合でも、糖尿病や高血圧のリスクが低下する傾向はみられなかったという。ただ、歩数が増えることは、GERDと睡眠時無呼吸症候群、うつ病などその他の症状を防ぐ可能性をより高めるとみられている。

そのほか、体重過多に分類されている人が1日あたりの歩数を6000歩から1万1000歩に増やすと、肥満になるリスクを64%下げられると考えられるという。

ただ、研究チームは、調査は参加者の73%が女性、84%が白人、71%の学歴が大卒であることなどから、これらの結果には限界があるとしている。大半を占める人たちの属性に偏りがあるため、結果で最適であるとみられた歩数が、すべての人にとってそうであるとはいえない可能性があるという。より多様なグループの人々を対象とした、より多くの研究が必要だとされている。

ウォーキングについてはこのほかにも、「食後に2分間歩けば2型糖尿病のリスクを低下させることができる」との研究結果が今年、発表されている。ウォーキングは喜びをもたらすものでもあり、ストレスレベルを低下させるものでもあるという。

毎日歩くことのメリットはその他にも、血圧低下や健康的な体重の維持、寿命の延び、知力の向上、関節の痛みの緩和など、数多くあるとされている。

ただし、専門家の多くは、より重要なのは毎日の歩数よりも、運動量だと指摘する。アメリカの厚生省(HHS)が作成した運動・身体活動のガイドラインによると、成人には1週間に「強度が中程度の運動」を150分、「筋力を向上させる運動」を2日、行うことが推奨されている。

つまり、ウォーキングにはいくつかの健康上のメリットがあるものの、全般的には、毎日より強度の高い運動をすることの方が、重要だとされている。

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

From Prevention

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Arielle Weg

Arielle Weg is the associate editor at Prevention and loves to share her favorite wellness and nutrition obsessions. She previously managed content at The Vitamin Shoppe, and her work has also appeared in Women’s Health, Men’s Health, Cooking Light, MyRecipes, and more. You can usually find her taking an online workout class or making a mess in the kitchen, creating something delicious she found in her cookbook collection or saved on Instagram.