レネー・ゼルウィガーは、1996年に映画『ザ・エージェント』(当時若干27歳!)のプレミア試写会に登場してからレッドカーペットイベントの常連となり、2020年には映画『ジュディ 虹の彼方に』でアカデミー賞主演女優賞を獲得した。

なにを着ても美しいゼルウィガーではあるけれど、2014年にはメディアの執拗な監視を受けてうつ病に。以来彼女は女性を見た目で判断しないよう、ハリウッドに強く働きかけてきた。この数十年で、ウェルネスに対するゼルウィガーの考え方は、どのように進化したのだろう。

2000年:「普段なら『NO』と言えないスニッカーズにさえ嫌気が差した」

映画『ブリジット・ジョーンズの日記』のブリジット役に選ばれたとき、当時31歳のゼルウィガーは体重を14kgも増やさなければならなかった。

本人が米CNNに語ったところによると、夜間の撮影が始まるまではなにもかも順調だった。「夜間の撮影は本当に疲れるし、終わったあとは食欲がゼロ。(それでも食べなきゃいけないから)普段なら『NO』と言えないスニッカーズにさえ嫌気が差した」。ゼルウィガーはフレンチトースト、ピザ、ミルクシェイク、チョコレートを数カ月間バクバク食べて、サイズ2(XS)からサイズ14(XL)に。ところが、2001年のアカデミー賞授賞式では再びスリムな体を見せたので、世間から彼女の健康状態を懸念する声が上がった。

体重に関しては、『ニューヨークポスト』紙に対して「本当にバカだった」と語っている。「1日20個ドーナツを食べているというウワサや、『女の子はブリジットっぽいほうがいいのか、痩せているほうがいいのか』という質問が飛び交った。そんなに注目されるとは思わなかった。私は仕事で役作りをしていただけ」

2004年:「9カ月ぶりにジムに戻れてうれしい」

ゼルウィガーは続編『ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月』で、またしても大幅な増量に挑戦。でも、このときは安全な方法で体重を63.5kgまで増やすべく、ちゃんと医師の助けを借りた。『The Post』誌によると、ゼルウィガーは2003年5月からエクササイズを中断し、「フラックスシードオイルのサラダドレッシングと増量用の美味しいプロテインシェイクでカロリーの摂取量を増やした」そう。2004年1月に撮影が終わるとエクササイズを再開し、オプラ・ウィンフリーに「9カ月ぶりにジムに戻れてうれしい」と本音をもらした。

2009年:「私は見た目で有名になった女優じゃない。むしろ、その逆」

ゼルウィガーは、2009年の映画『たった一人のあなたのために』でジョージ・ハミルトン(アメリカの俳優・映画プロデューサー)の母親アンを好演。この映画はジェンダーの役割や女性に対する認識の複雑さを描いたものだった。米CNNに対してゼルウィガーは、見た目で判断されがちなアンには共感するとコメント。「私は見た目で有名になった女優じゃない。むしろ、その逆。見た目の話で名前が出ない私はラッキー。私は目立つタイプでも、いつも髪型を気にしなければならないような絶世の美女でもない」

2009年:「ランニングは私のはけ口。走っている間だけは、その時間が自分だけのものだと言える」

ゼルウィガーは、お気に入りのワークアウトがランニングであることを『Glamour』誌に明かしている。「ランニングは私のはけ口。走っている間だけは、その時間が自分だけのものだと言える。トレーナーを雇いたいとも、友達とジムに行きたいとも思わない。私に必要なのは1人の時間」。当時40歳の彼女には後悔していることもとくになかった。「私は、これまでの経験に感謝している。世の中には誰も経験したくないことだってあるけれど、それも含めて人生。いい人生。だから私は、そこにあるものが好き」

2013年:「私はジムに行くことで自分の正気を保っている」

2013年、ゼルウィガーは『Daily Express』誌に対して「ひもじい思いをしているとか拒食症だとか言われるのは、不公平だしガッカリする」と本音を語った。「私のことを行き過ぎだとか、ああだこうだ言う記事を読むのは、すごく不快」。彼女がスラッとしているのはワークアウトが好きだから。「私はジムに行くことで自分の正気を保っている」

2014年:「自分を優先したことは一度もなかった」

2000年代前半の著名な映画で大成功を収めたにも関わらず、ゼルウィガーは2010年に休業を宣言した。そして2014年、『Elle』主催のイベント『Women in Hollywood』に姿を見せると、ネット上で整形疑惑をかけられた。彼女は、このダメージを1年間引きずることに。

ゼルウィガーはカウンセリングを受け、最終的にうつ病と診断された。のちに彼女は休業前の自分自身を振り返り「当時の私は健康じゃなかった。セルフケアをしていなかった」と『Vulture』誌に語っている。「自分を優先したことは一度もなかった......。人生の99%を表向きの顔で生きてきて、実生活と呼べるものはほとんどなかった」

整形疑惑に関しては「考え方を変えたいときは、国際的な屈辱を受けるのが一番よ。自分にとって本当に大事なものが分かるから」としたうえで、アーティストは仕事ばかりか人間性まで批判されて追い詰められるとコメント。

「これ以上は耐えられない。自分の神経は思ったより図太くなかった。いまの私には、そういうときの気持ちが分かる。私は思い切り打ちのめされた。しかも、これで終わりじゃない」

2016年:「女性の価値は昔から見た目ではかられてきた」

ゼルウィガーは、2016年の『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』で俳優業に復帰した。つらい時期は1年で乗り越えたらしく、『Vulture』誌に対して休業中の「5年間は思い切り楽しんだ。私が人生の新しいチャプターにいたことは、みんな知る由もないでしょう」と語っている。

その後ゼルウィガーは『ハフポスト』に寄稿した『We Can Do Better』というエッセイの中で、メディアによる執拗な監視を批判。彼女が言うように「女性の価値は昔から見た目ではかられてきた」。そして、これは私たちが受け入れてはならない現実。

2019年:「申し訳なさそうに生きるより、いくつになっても健康かつ生産的な女性でいたい」

ゼルウィガーは2017年の『奇跡の絆』、2018年の『私のニューヨーク』に出演し、2019年には映画『ジュディ 虹の彼方に』でジュディ・ガーランドを演じることを発表した。でも、この撮影はかなりハードだったようで、「撮影が終わる頃には疲労で痩せ細っていた」と『Style』誌に語っている。とはいえ「過酷なスケジュールも一時的なものだから。数カ月頑張れば、ちょっと休める」

このうえなくクレイジーな生活を送る中でゼルウィガーは、スローダウンすることの重要性を意識して、年を取ることを恐れずにバランスよく生きている。「過ぎたことを嘆きながら生きるより、人生の各ステージを喜びながらいまを生きたい」と『InStyle』に語った彼女。「昔の自分に縛られて、いまを見逃したくない」

「そうは言っても、ジムを退会することは当分ない。申し訳なさそうに生きるより、いくつになっても健康かつ生産的な女性でいたいから。前進するのを悪いことのように言う人がいるけれど、そういう考えも持ちたくない」

※この記事は、アメリカ版『Prevention』から翻訳されました。

Text: Nicole Natale Translation: Ai Igamoto