飲むと性欲が低くなるって本当？ 避妊ピルの真相
イギリス版ウィメンズヘルスが徹底調査。
避妊ピルは評判が悪い。うつ病や不安の原因になるとか、乳がんのリスクを高めるとかいううわさが飛び交っている。でも、避妊ピルが性欲に影響を与えるというのは本当？ 避妊ピルは誰にでも合うわけではなく、前述のような望ましくない副作用をもたらすことも実際にあるという。そこで今回はイギリス版ウィメンズヘルスより、避妊ピルが性欲に与えるうわさの真相についてご紹介。
エビデンス
ドイツの大学で行われた2013年の実験結果は、体本来の“ラブホルモン”であるオキシトシンの作用が避妊ピルによって減少する可能性があることを示している。
この実験は、合成オキシトシンを用いて、男性が女性を魅力的に感じる度合いを調べたもの。異性愛の男性20名は合成オキシトシンが入った点鼻薬を使ってから、自分の彼女と他の女性の魅力度を評価した。
その結果、点鼻薬を使った男性には自分の彼女がより美しく見える一方で、他の女性に対する評価は変わらないことが分かった。
「オキシトシンによってパートナーの魅力と価値が増幅し、男性の愛情が強くなるのかもしれません」と研究チームは報告している。でも、20代の異性愛女性40名を対象に行われた同じ実験では、同じ結果が出なかった。
この実験では、その女性の半数が合成オキシトシンの点鼻薬、もう半数がプラセボを使用してから自分の彼氏と他の男性の見た目を評価した。その後、両グループはスワップし、合成オキシトシンの点鼻薬を使った女性がプラセボ、プラセボを使った女性が合成オキシトシンの点鼻薬を使用した。
その結果、合成オキシトシンの点鼻薬を使った女性は、プラセボを使った女性より、自分の彼氏の魅力度を平均15%高く評価したという。
ところが避妊ピルを飲んでいる女性には、このような変化が見られなかった。つまり、オキシトシンを使っても男性の魅力度が変わらなかったということ。
このエビデンスを見る限り、避妊ピルが性欲に影響を与えるのは間違いないかのように思える。でも、必ずしもそうであるとは言い切れない。
医師の見解
薬は人によって効き方が違うので、性欲減退の原因が避妊ピルにあるとは言い切れないだろう。それでもやはり、避妊ピルの影響が気になる場合は、医師に相談するのがベスト。
「性生活は重要です」と話すのは、米ケンタッキー大学に所属するセクシャルヘルス・エキスパートのクリステン・マーク医師。「そして薬が性生活の質を下げていると思うなら、他のオプションを検討することも可能です」
でも、一番手っ取り早いからからというだけで薬のせいにするのは間違いかも。性欲に一番大きな影響を与えるのは、2人のいまの関係を作り出す好ましくない要素の数々。
全然その気になれないときは、避妊ピルのせいにするのではなく、状況を深く分析してみて。いまの関係に対する率直な満足度を自分に問うだけでなく、残業をしすぎていないか、寝不足が続いていないかも考えてみよう。どちらも性欲を減退させる大きな要因。
「性欲は一定であると思われていますが、実際は浮き沈みするものです。そして浮き沈みしたときは、それに耳を傾ける必要がありますよ」とマーク医師。
※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。
Text: Katie Robertson And Roisín Dervish-o'kane, Extra Words By Aleesha Badkar Translation: Ai Igamoto
