私たちの脳はマルチタスクが苦手なのに、複数のことを同時に行う癖がある?(これまでの研究により、マルチタスクをすると、まるで徹夜をしたかのようにIQが一時的に下がることも分かっている)。やること全部を24時間に詰め込めないときは、一度止まって深呼吸。ヘルス・ウェルネスの専門家によると、私たちが抱えているタスクの1つひとつには、それに適した(時として意外な)時間帯というものがあるそう。詳しく見ていこう。

イチャイチャするのは【7:00AM】

スヌーズボタンを押すくらいなら、隣で寝ているパートナーに手を伸ばそう。ほとんどの人は夜にセックスをするけれど、男女のテストステロン(性的な興奮に関わるホルモン)値は起きてすぐがもっとも高く、寝る前がもっとも低い。

体重を計るのは【7:30AM】

米ニューヨーク大学栄養・食品学部のリサ・ヤング助教授によると、体重は週に1~2回、同じ時間に測るべき。

ワークアウトは【7:35AM】

運動を週末までとっておくことはない。朝食前に元気よく外を歩けば、糖質を摂取する前なので脂肪が燃料として使われる。また、米メクレンブルグ・メディカルグループ・サウスパークの内科医長、G・ライアン・シェルトン医学博士によると、ワークアウトを朝にすればサボってしまう確率が下がるので、目標体重に近づきやすい。高い集中力と活力で1日を始められるのも、早朝にワークアウトをする利点の1つ。

朝食は【8:00AM】

朝食は起きてから1~2時間以内にとるのがベスト。ヤング助教授の話では、朝食が遅すぎると血糖値が下がってしまい、あとで腹ペコになる。日中の空腹を防ぎたいなら、朝食でタンパク質を多めに摂って。

通院は【9:00AM】

シェルトン博士いわく朝は、先生に急用ができたり他の診察が長引いたりする前なので、病院の待ち時間が短い傾向にある。ワクチン接種も早朝に。英バーミンガム大学の調査によって、ワクチン接種を午前9~11時に受けた人は午後に受けた人よりも抗体反応が強いことが分かった。言い換えれば、ワクチンに守ってもらえる可能性が高いということ。

1杯目のコーヒーは【10:00AM】

著書に『The Power of When』を持つ睡眠スペシャリストで臨床心理士のマイケル・J・ブルース博士によると、目覚ましを止めてすぐにコーヒーを入れるのは悪い習慣。「起きてすぐはストレスホルモンのコルチゾールが体中に溢れているので、何もしなくても注意力が高いはずです。その状態でカフェインを摂取すると、神経が過敏になってしまいます」

大事なプロジェクト、税の申告、執筆、クロスワードパズルは【11:00AM】

朝10時に飲んだコーヒーのカフェインの効力は約10分後から4~6時間続くので、11時頃は思考が明晰。ブルース博士いわく私たちの生産性は、タスクに取り組む時間の長さに伴って低下する。でも、この時間帯なら難易度の高いタスクも記録的な速さで終わらせられる。

昼食は【12:00PM】

ヤング助教授によると、昼食は朝食の約4時間後に食べるのが理想的。ブルース博士の話では、昼食前に10~15分の散歩をすると食欲が低下するのでさらにベター。ヘルシーなメニューを選んで、デザートの誘惑を退けるのも楽になる。

食料品の買い出しは【1:00PM】

医学専門誌『JAMA Internal Medicine』に掲載された米コーネル大学の論文によると、おなかがすいた状態で買い物に出掛けると、高カロリーのアイテムを買ってしまう確率が高くなる。食料品の買い出しは夕食の直前よりも、昼食と間食の合間(午後1~4時)にしたほうがカロリーを抑えやすい。また、ヤング助教授の話では、午後の早い時間帯なら、従業員が品だしを終えたばかりなので新鮮な野菜やフルーツが手に入る。

お昼寝は【2:00PM】

お昼寝は午後2時に。ブルース博士によると、エネルギーを回復するには15分も寝れば十分。深い眠りのステージに入ってしまうと、起きたときに頭が余計ボーッとする。

重要な決断をするのは【3:00PM】

午後も半ばに達したら、残りのブレインパワーを使って重要な決断を。この時間帯は、感情、空腹、疲労で判断力が鈍りにくい。「この時間帯なら元気が残っているはずですし、ストレスが溜まりすぎていることもないでしょう」と話すのは、心理学者のエリザベス・ロンバルド博士。そして、決断を下すまではトイレを我慢。心理科学専門誌『Psychological Science』掲載の論文によると、膀胱が満タンの状態でタスクを与えられたときは、衝動的な決断をしてしまうことが少ない。

おやつを食べるのは【4:00PM】

米国栄養士学会の会報誌『Journal of the American Dietetic Association』が掲載した米イリノイ大学シカゴ校の研究論文によると、この時間帯に間食をする人はヘルシーなスナックを選ぶ傾向にある。この研究では、午後も半ばに差し掛かってから間食をする人は、午前中に間食をする人よりも食物繊維、フルーツ、野菜の摂取量が多く、体重も減りやすいことが分かった。ヤング助教授によると、昼食から2時間以上経った時点で間食をすれば、昼食から夕食までの7時間が辛くなくなる。

夕食は【7:00PM】

夕食は、朝食や昼食よりも軽くして、夜8時までに済ませよう。ヤング助教授の話では、就寝の3時間前までに食べないと、消化不良で熟睡できなくなってしまう。

SNSに投稿するのは【8:00PM】

午後8時はSNSの投稿にもっとも“いいね”が付きやすく、シェアされる確率やコメントがもらえる確率も一番高い時間帯。就寝時間が十分に先なので、スクリーンタイムによって睡眠パターンや心が乱れることもない。近年の調査結果によれば、SNS上で過ごす時間が長ければ長いほど、気分は落ち込みやすくなる。「寝る直前に頭の中をSNSで一杯にするのはやめましょう」とロンバルド博士。

YouTubeを観るのは【9:00PM】

「次のエピソードで最後にしよう」と言い続け、就寝時間を遅らせると、いつもと同じ時間に寝るつもりでいる脳が混乱してしまう。どうしても見たいものがあるときは、睡眠の質が落ちないように、夜10時までにデバイス(パソコンとスマホの両方)をオフにして。

入浴は【10:00PM】

デバイスをオフにしたら、お風呂に浸かって自分をオフに。夜になると体幹温度が自然と下がり、睡眠時間が近いことを脳に知らせる。お風呂に入れば体温を上げることになるけれど、お風呂を出れば体温が一気に下がり、脳にシグナルが届くので大丈夫。

瞑想は【10:30PM】

お風呂のあとは瞑想でさらに心身をリラックス。短時間でも瞑想すると、血圧、心拍数、コレステロール値が下がるので眠りにつきやすくなる。

就寝は【11:00PM】

必要な睡眠時間は人によって異なるけれど、米国立睡眠財団いわく健康な成人には1日7~9時間がちょうどいい。就寝時間は、睡眠サイクルが90分であることをベースに割り出して。理想的には、ひと晩で90分の睡眠サイクルを5周したいところだけれど、少なくとも4周できれば合格点。

仕切り直しは【11:20PM】

ベッドに入って20分たっても目がさえているときは、体を起こして薄暗いライトをつけよう。スマホの画面をのぞいても余計眠れなくなるだけなので、読書や瞑想、呼吸エクササイズで心身をリラックスさせ、10~15分たってからもう一度ベッドに入る。頭の中でTo-Doリストの項目を数えると心が乱れ、理想的なスケジュールで1日を過ごした意味がなくなってしまうので要注意。

※この記事は、アメリカ版『Prevention』から翻訳されました。

Text: Sarah Klein Translation: Ai Igamoto