自分の生理が“正常”かなんて、聞いてみないと分からない。でも、生理には恥ずかしいイメージがあるから、友達や家族にも聞きづらい。でも、経血量が多すぎることは実際にあるから、その疑問を放置するのは禁物。女性の約4分の1は、生理が異常に重すぎたり長すぎたりする月経過多という病態を抱えている。今回は、月経過多についてオーストラリア版ウィメンズヘルスから見ていこう。

月経過多とは?

一般的に、“正常”な生理では70~80ml(ダブルエスプレッソ約2杯分)の体液が失われる。その体液の約半分は血液。でも、月経過多の人は160~400ml(缶ビール1本分くらい)の体液を失う。

月経過多の主な症状

・ナプキンやタンポンから1~2時間おきに血が漏れる

・生理が7日以上続く

・2.5cm以上(10円玉より少し大きいサイズ)の血の塊が出る

月経過多の問題は?

ものすごく一般的な問題なのに、ほとんどの女性は自分が月経過多であることすら知らない。それが“正常”だと思っている人も少なくない。でも、このような考え方は少し危険。というのも、月経過多が基礎疾患(子宮筋腫、子宮内膜症、骨盤内感染症、出血性疾患など)のサインであるケースもなくはないから。入れたばかりの子宮内避妊器具(IUD)が一時的に月経過多を引き起こしていることもある。

月経過多の女性の約3分の2は、鉄欠乏性貧血も発症する。

生理ではエネルギー源である体内の酸素供給に不可欠な赤血球が失われるため、経血量が毎月多いと、体内の赤血球が異常に少なくなってしまう。

それですぐに貧血になるわけではないけれど、日常生活に支障を来たすさまざまな症状が生じる可能性はある。

肌や唇が青白くなるのは貧血の典型的な身体症状。でも、貧血の人には、異常な疲れ、イライラ、めまい、意識の混乱、気分の落ち込みが見られることも。また、貧血は頭痛、ブレインフォグ、心拍数の増加、体重の減少を引き起こすこともある。

月経過多が疑われる場合には?

できるだけ早く病院へ。診断には数カ月かかることもあるので、先送りにしないことが大切。

病院には、自分なりに情報を集めた上で行くといい。例えば、“あなたにとって正常”な経血量を月経カップで調べたり、毎月使う生理用品の量を数えたり。

生理日記や生理トラッカーアプリも役に立つ。家族に月経過多の人がいるかどうかも調べておこう。こういった情報を持たずに行くと診断が下りないし、「この先の数カ月で調べてみてください」と言われる可能性が高い。

病院では、月経過多の症状を抑える薬(低用量ピルや経血量をコントロールして血が塊になって出るのを減らすトラネキサム酸など)が処方されるかもしれない。子宮筋腫のような基礎疾患が見つかった場合には、外科手術が必要になることも。

貧血が疑われる場合には、症状(とくに生理前後の気分)を記録しておくことが大切。鉄欠乏性貧血の症状は、不安障害、咳、風邪、食物アレルギーといった多数の疾患でも見られるため、正確な診断には血液検査が必要になる。

貧血と診断された場合には、新しい赤血球の産生を促す鉄のサプリメントが処方されるかもしれない。色の濃い肉、ヒヨコ豆、葉物野菜、ナッツなどの鉄が豊富な食品を取り入れて、バランスのよい健康的な食生活を送ることも忘れずに。


ひとりで悩んではいけない理由

月経過多で日常生活、学業、運動、仕事に支障が出ていても助けを求めず、何年も不必要に苦しんでいる女性は多い。その結果貧血を発症すれば、体と心にかかる負担が一段と大きくなる。

女性の健康に関するオープンな話し合いと教育が必要とされるのは、これが理由。生理に関して言えば、なにが正常でなにが異常なのかを私たちが話し合うだけでなく、医療従事者が月経過多のサイン・症状・影響に精通することも必要。オープンな対話を通して問題に対する認識を高めれば、早い段階でサポートと治療を受ける女性の数も増えるはず。

※この記事は当初、『The Conversation』に掲載されました。

※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Suzannah Williams Translation: Ai Igamoto