閉経は、誰もが夢見ることじゃない。シワや尿漏れと同様、いずれは起こることだとしても、若いうちから心配する必要はないでしょう? そういって、ほとんどの女性は閉経の平均年齢といわれている51歳まで閉経のことを考えない。でも、約1%の女性には閉経が30代で訪れる。医学用語で早発卵巣不全と呼ばれる閉経の典型的な症状は、ホットフラッシュ、寝汗、不眠、性機能の問題、膣の乾燥、性交痛、尿漏れなどの骨盤底障害、骨量の減少、気分のむら。
アイ・ニ・ブイ医師は、オーストラリアのオンラインヘルスケアサービス『Rosemary Health』の総合診療医でメディカル・ディレクター。15年以上の経験をもとに妊娠のサポート、セクシュアルヘルスのケア、慢性疾患の治療に取り組むブイ医師のもとには、「早期閉経を防ぐ方法はないのか」という質問が頻繁に寄せられる。残念ながら、通常より早い閉経の到来を確実に防ぐ方法は存在しない。オーストラリア版ウィメンズヘルスから早期閉経を遅らせるためにできることをご紹介。
1.ヘルシーな生活を送る
健康的な生活を送っていれば、閉経の症状が軽減するし、合併症のリスクも下がる。なかでも禁煙は、ホットフラッシュなど厄介な症状や早期閉経のリスクを下げるうえで非常に大事。飲酒と薬物を控えるのも効果的。
ヘルシーな食生活と日常的なエクササイズはいうまでもなく健康によく、それだけで閉経のタイミングや症状の度合いが変わることも。
2.体重負荷運動をする
閉経によって体内のエストロゲンが減ると、おなか周りに脂肪がついて、体重が増えやすくなる。腹部脂肪の増加は、心疾患、2型糖尿病、ぜんそくなどに関連するので注意が必要。
閉経前後の体重増加を防ぐには、体重負荷運動(ウォーキング、ハイキング、ジョギング、階段をのぼる、テニス、ガーデニングなど)がオススメ。こういった運動は、骨を丈夫にして骨粗しょう症のリスクと症状を減らすうえでも効果的。骨粗しょう症は、閉経に伴って起こりうる問題の1つ。
体重負荷運動に閉経の症状を減らす効果はあるけれど、閉経そのものを防いだり遅らせたりする作用はない。
3.カルシウムとビタミンDを摂取する
前述の通り、骨粗しょう症は閉経に伴って起こりうる問題の1つ。これは、エストロゲンの量が減り、生理が止まると骨量が低下するから。カルシウムとビタミンDは骨密度の維持に欠かせない。
カルシウムとビタミンDは、閉経に伴う心疾患のリスクも下げてくれる。
カルシウムは、牛乳、ヨーグルト、チーズなど乳製品、緑色の葉物野菜、ブロッコリー、サーモンに多く含まれる。ビタミンDは日光から(ただし浴びすぎは皮膚がんのもと)。自然な方法で十分に摂れないときは、サプリメントで補って。
体重負荷運動と同様、カルシウムとビタミンDにも閉経を防いだり遅らせたりする作用はない。でも、骨粗しょう症や心疾患のリスクを下げるうえでは役に立つ。
4.遺伝子をチェックする
閉経のタイミングは遺伝によって決まる部分が大きいので、母親を含む女性の親族が閉経した年齢は、かなり正確な予測因子。
お母さん、おばあちゃん、おばさんなどに以下のサインや症状が現れたタイミングを聞いてみよう。
生理不順、膣の乾燥、ホットフラッシュ、寒気、寝汗、不眠、気分のムラ、体重の増加と代謝の低下、抜け毛や肌の乾燥、胸の垂れ
閉経のサインと症状には個人差があるけれど、ほとんどの女性は生理が不順になってから止まる。こういった症状は、最後の生理の数カ月前から数年前に一部またはすべて現れ、生理が12カ月来なかった段階で正式に閉経と診断される。閉経以外の理由から生理が不順になったり周期が変わったりすることもあるので、一度医師に確認しよう。
生理が1年以上なく、閉経の診断が出たあとに出血が見られたときは、必ず病院で検査を受けて。
5.健康状態に気を配る
喫煙、化学療法、女性生殖器(卵巣など)の手術は閉経を早める。化学療法をはじめとするがん治療は、絶対ではないけれど閉経を誘発し、ホットフラッシュなどの症状を引き起こすことがある。
卵巣を摘出すると、エストロゲンやプロゲステロンが産生されなくなるうえに、生理周期の調節が効かなくなるため、生理は手術後すぐ止まり、ホットフラッシュなどの症状が現れる。この場合は、ホルモン変化が数年かけて徐々にではなく急激に起こるため、閉経のサインや症状が重くなりがち。
このように閉経が早まることはあっても、閉経を確実に遅らせる方法は存在しない。
閉経のプロセスはスムーズであってほしいもの。そのためにも、現在の健康状態や生活習慣について、かかりつけ医とオープンに話し合おう。最近では、ホルモン補充療法(HRT)のように、更年期の症状を緩和することが証明された療法も存在する。閉経前後の波を軽やかに乗り越えるには、早いうちから生活習慣を改善し、家族歴を把握して、総体的に健康でいることが大切。
※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。
Translation: Ai Igamoto