直訳すると、ストレスが全くない状態のことを”ストレスフリー”と呼ぶが、心理的な観点からいうと、この言葉は、ストレスに縛れていない、支配されていない状態のことを言う。つまり、ストレスマネジメントができている状態であると、人はストレスを負担に感じずに生きられる。そこで、ストレスとうまく付き合うコツを臨床心理士にアスク!
<目次>
- 1.ストレスフリーに生きるタイプはこんな人
- 2.ストレスを抱え込みやすい人とは
- 3.ストレスを感じてしまう主な原因は?
- 4.ストレスには良いストレスと悪いストレスがある
- 5.ストレスを感じた時に今すぐやめるべき、やるべきこと
- 6.ストレスを発散するために必要な3つの方法とは?
- 7.ストレスフリーな生活を送るために知るべき3つのポイント
- 8.まとめ
1.ストレスフリーに生きるタイプはこんな人
①人間関係の距離の取り方が上手い
物事で言うと、ネガティブではなく、ポジティブな方向に書き換えられる。
②落ち込んでもうまく立ち直る
心理用語的には、立ち直る力のことを”レジリエンス”と呼ぶ。自分に負荷がかかっても、発想を転換して立ち直ることができ、それをストレスと思いにくい。
2.ストレスを抱え込みやすい人とは
①自分の中のルールに縛られている
②自分で解決しなければならないと思い込み、責任感が強い
③些細なことでストレスを感じてはいけないと思っている
3.ストレスを感じてしまう主な原因は?
こうじゃないといけないというルールが強いとストレスは悪い方向に向いてしまいがち。例えば、頑張ればなんとかなるとやってみてもどうにもいかない時もある。そんな時、自分のガッツが足りない、と一方的に責任を感じてしまい、苦しくなってしまう。その状況に対して、ストレスとなっていることに気づかず、自分と向き合おうとしないため、頑張ることを続けてしまう。この連鎖がストレスを負担に感じてしまうのだ。
4.ストレスには良いストレスと悪いストレスがある
①良いストレス:ユーストレス
主に、モチベーションを高めてくれるストレスのことを指す。気持ちをプラスに働かせるストレスのこと。
②悪いストレス:ディストレス
自分のモチベーションを下げてしまう、もしくはプレッシャーを強く感じてしまうストレスを言う。必要以上にストレスを抱えてしまっている状態のこと。
例えば……
仕事の量が多くて、ストレスを感じた時
ユーストレスの場合:これが終わればこのあと、楽しみが待ってるから頑張ろう! この仕事がひと段落したら、旅行が待ってる! みんなでご飯にいけるから頑張ろう!など。
ディストレスの場合:まだまだこんなにあって、今日も寝れないや。家に持ち帰ってでも仕事しなきゃいけないなぁ。
ディストレス対処法
仕事に関しては、ある程度ここまでやる、できないことについてはこの人に頼むなど、割り切りを持つことが大事。そこまで自分で抱え込む必要がないこともある。切り替えができるかできないかで同じストレスでも感じ方が違う。
仕事の上司や関係でとうまくいかないことをストレスに感じた時
ユーストレスの場合:断るところは断っている。上司とはいい距離感を保ち、これ以上は関わらないようにしようという線引きを持っている。
ディストレスの場合:相手のペースに巻き込まれて、相手の発言や要求を必要以上に聞き入れてしまう。
ディストレス対処法
相手の意見をうまく回避できない場合は、部署移動などを希望するなど、物理的な距離をとるように立ち回ってみよう。退避するための術が何かを考えてみる。
5.ストレスを感じた時に今すぐやめるべき、やるべきこと
やめるべきこと
一人で解決できると思わないで、一回手放してみよう。自分じゃどうにもできなかったことでも、誰かに頼ってみるとうまくいくこともある。まずは、自分の問題、責任だと思うことをやめる。
やるべきこと
ストレスに対処する発散法のスキルをいくつか持っておくこと。一つではなく、いくつか持つことが重要だ。なぜなら、ストレスの質によって解消法は変わってくるから。では、ストレスの質とはどういうことを意味するのか?
6.ストレスを発散するために必要な3つの方法とは?
例えば、上司に対してのストレスを抱えていた時、どのストレス発散法が効果的か、一つずつ、実践してみることが大事である。これを、 心理用語ではストレスコーピングという。
問題焦点型コーピング
ストレッサー(ストレスの原因となるもの)、仕事で上司のストレスを感じてる場合は人事と相談して離れられるようにする。
情動焦点型コーピング
愚痴などを話して、上司に感じていた怒りの整理をする。上司はストレスでしかない、という捉え方、考え方、自分を成長させてくれるものの一つというところに意識を転換する。
解消型コーピング
ヨガやランニング、ワークアウトなど体を動かすことや音楽を聴くことなど、物理的なことで発散する。
愚痴をこぼすことって、実はいいこと?
カウセリングの始まりは愚痴から話してもらうことが多い。なぜなら、愚痴を吐く、話すことによって新しい気づきが起きるから。もちろん程度の問題もあるし、愚痴を話した相手がどれくらい受け入れられるかというキャパシティの問題もある。そこで、自分の中でルールは持っておくべき。例えば、愚痴を吐くのはこの場、この人だけ。もしくは、エンドレスにならないように時間で区切ってもいい。人によっては永遠に喋る人もいるが、本来感じていなかった感情も出てきてしまうので要注意。もしかしたらそうでもないと思っていたことまで、喋り続けることでより感情的になってしまい、逆にそれがよりストレスになることも。
7.ストレスフリーな生活を送るために知るべき3つのポイント
①アロマのある生活へ
五感の中の嗅覚は脳の神経とダイレクトにつながっているので、ストレスを感じやすく、脳に影響しやすい。つまり、自分の好きな香り、いい香りを嗅ぐとストレスを緩和される。逆も然りで、自分にとっていやな匂いだとストレスを感じやすいこともある。ローズの香りは幸福感をもたらし、ストレスに効くホルモン・オキシトシンやセロトニンが出やすいと言われているので、そういう香りを見つけるのも◎。嗅覚で感じることは、同時に呼吸を深くしてくれることも。数分でもいいので、アロマを焚きながら呼吸法をやってみると効果を感じられるかもしれない。
出典元:プロカウンセラーが教える香りで気分を切り替える技術 ~香りマインドフルネス
②睡眠をしっかりととる
寝れないのはストレスに直結すること。睡眠不足は普段しない考えに陥りやすいためだ。鬱になって病院に行く人は眠れない人が多いことからも、睡眠の大切さが伺える。
③休みを取る
丸一日が取れない場合であれば、こまめに休むことでも十分効果がある。
ストレスを抱え込みやすいタイプは生真面目なので、休みはしっかり取らなきゃいけないって思ってる人も多いが、数時間でも休みを取る方法を考えて。睡眠も、まとめて寝るよりはこまめにコンスタントに眠っている方がいい。休むことに罪悪感を得ず、隙間時間をうまく使って休むことを取り入れてみて。
8.まとめ
ストレスは、まず、こうじゃないといけないというところに縛られないこと。白黒はっきりさせたい思考、なんとかすべき思考などに囚われない意識をしていけば、割とすんなりストレスフリーへと踏み出せる可能性がある。
元々の性格もあるし、育ってきた環境の影響もあるけれど、困った時に誰かに助けてもらうこと、相談できる相手を探しておくことがまずストレスフリーへの第一歩。嫌だなということに対して、はっきりと伝えられること。そして自分の主張だけでなく、相手の主張も大事にしつつ、お互いがウィンウィンな関係を築こうとする姿勢を保つようにしてみよう。
臨床心理士。岩手県出身。多感な思春期時代に臨床心理学の存在を知り、カウンセラーになることを決意。大学と大学院にて臨床心理学を専攻し、卒業後「臨床心理士」を取得。学生時代に趣味で始めたヨガだったが、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングと近いものを感じ、ヨガ講師になることを決意。現在は臨床心理士としてカウンセリングをする傍ら、ヨガ講師としても活動している。 公式HP: mai-minami.com Instagram: @maiminami831
タレント・アスリートインタビュー・スポーツファッション・ウェルネス記事などを担当。女性誌FRaUでファッション・スポーツ・ダイエットなどの編集キャリアを積み、その後スポーツライフスタイルマガジンonyourmarkのプロデューサーとして在籍後、2022年までウィメンズヘルス編集部に在籍。