知っての通り、経血の色は赤じゃないときもある。経血の色は、生理のステージや月によって変わるもの。経血量がもっとも重い生理の最初の数日は赤いことが多いけれど、ピンクや茶色、ときには黒い経血が出ることも。

ほとんどの人は生理が5日で終わるけれど、それが3日になることも8日になることもある。経血の量が月経周期で変わるのはよしとして、その色と粘度から分かることはあるのだろうか? 英婦人科クリニック『The Gynae Centre』顧問婦人科医のアレックス・エスカンダル医師と、総合診療医のジュリエット・マグラタン医師に話を聞いた。

経血の色と粘度が変わる理由

経血の色と粘度は、数々の要素によって変化する。

例えば:
・経血が体から出るまでにかかる時間
・生理の重さ
・ホルモンバランスの変化
・基礎疾患(治療が必要な場合もある)

経血の色が変わるのは普通のこと。生理の序盤と終盤では経血量が少なくなるので、経血が体から出るまでにかかる時間、つまり経血が酸化する時間が長くなり、経血の色が黒くなる。見た目は少しトロッとしていることが多いけれど、これにも個人差がある。

経血が黒っぽい、または茶色のとき

見た目からして不安になるかもしれないけれど、経血が黒くなったり茶色くなったりするのは、経血が子宮から出るまでに時間がかかり、酸化が進んだからにすぎない。経血量が減る生理の終盤や、生理不順の女性に多く見られる。

経血が真っ赤、または赤黒いとき

どちらも健康な生理のサイン。真っ赤な経血は新鮮で、経血量の多い生理の序盤で見られやすい。赤黒い経血は、体から出るのに少しだけ時間がかかり、酸化したもの。どちらもまったくもって正常。

月経過多で鮮やかな赤い経血が大量に出るのは、子宮筋腫のせいかもしれない。子宮筋腫では、子宮に良性の(がん性のない)腫瘍ができて、経血量が増加する。

経血がピンク色のとき

これは、たぶん経血が頸管の粘液と混ざっただけ。でも、それに加えて経血量が普段より少ないときは、エストロゲンが減っているのかもしれない。生理中や生理の前後に少量の出血が見られることもあるけれど、この場合の経血は大抵赤かピンク色。生理と生理の間に見られる出血は月経中間期出血と呼ばれるもので、さまざまな理由から起こりうる。

例えば:
・ホルモン避妊薬
・性感染症(クラミジアなど)
・多嚢胞性卵巣症候群
・排卵
・子宮筋腫(子宮内に良性の腫瘍ができること)
・子宮頸部の病気(子宮膣部びらんや子宮頸部外反症では出血が見られることも)
・子宮頸がん、子宮がん、膣がん、外陰がん

月経中間期出血が見られる場合は病院で原因を特定しよう。

着床出血は、妊娠初期の段階で受精卵が子宮内膜に着床するときに生じる軽度の出血で、通常はピンク色。ピンクがかった出血が突然、それも大量に見られた場合は流産の可能性も。

経血がオレンジ色のとき

オレンジ色の経血は通常、膣感染症(性感染症や細菌感染症)を示すサイン。色の変化に加えて経血から異臭がしたり、経血の粘度が変わったりすることもある。この場合は、病院で診断と治療を受けて。

経血が灰色のとき

灰色の経血やおりものが見られるときは感染症が疑われるので、病院で検査と治療を受けるべき。細菌性膣炎はもっとも多く見られる感染症の一種で、膣内の細菌が異常増殖し、灰色の臭いおりものを生じさせる。かゆみが伴うことも多い。

灰色であることに加え、おりものの粘度がいつもと違い、組織の塊みたいなものが混ざっているときは、流産の可能性がある。

経血が水っぽいとき

生理が軽く、経血が薄い人もいるけれど、それはそれで問題ない。生理が重く、流れが速い場合の経血も水っぽくなることがある。

それより珍しいけれど、卵管がんも水っぽい経血やおりものが出る理由の1つ。卵管がんの女性の大半は、50代以上で出産経験がない。通常は、腹痛、腫れ、頻尿、重度の疲労感といった他の症状も付随する。

経血が塊になるとき

経血量の多い生理の序盤で、経血の小さな塊が見られるのは自然なこと。これは体内に経血がたまり、固まりだすから。でも、10円玉より大きい塊が頻繁に見られる場合は、子宮筋腫、子宮頸管ポリープ、子宮内膜症の可能性がある。

経血の中に膜みたいなものが混ざっているとき

経血の中に膜や組織みたいなものが混ざっているのは、大抵どこかに問題があるサイン。その原因として一番多いのは、ホルモンバランスの乱れ、子宮外妊娠、流産。子宮外妊娠は命取りになることもあるので、念のため早急に婦人科を訪れて。

病院へ行くべきなのは、どんなとき?

経血が月によって少しずつ違うのは問題ない。でも、あなたにとって普通ではないことが長期間続いたり、経血の色や粘度が大きく変わったりしたときは、婦人科を訪れたほうがいい。

生理の重い日が5~7日以上続くのは、月経過多と言われる状態。日常生活に支障が出るほど生理が重い場合には、婦人科医に相談を。

※この記事は、『Netdoctor』から翻訳されました。

Text: Dr Alex Eskander (MBChB, FRCOG) and Dr Juliet McGrattan (MBChB) Translation: Ai Igamoto