健康のためになにを食べるといいのか本当にわかってるのかな? 無責任なインフルエンサーたちにより、今世の中には矛盾するアドバイスが溢れてしまっている。だからなにを食べるといいのか悪いのかがイマイチ掴めない。恣意的なルールや制限もいっぱいある。「赤肉を食べたらダメ」「コーヒーを飲んだらダメ」。そして今度は「オートミールを食べたらダメ」

これは本気なのだろうか……? オートミールがなぜ突然「悪い」食べものだとレッテルを貼られてしまったのかはわからないけれど、TikTokやInstagramを見る限りでは、今や多くの人たちがオートミール粥を食べるのを避けようとしている。一体どうして?

もしかすると、生化学者のジェシー・インチャウスペ(通称:グルコース女神)の影響も一部あるかもしれない。彼女は自身のフォロワーに対し、甘くない朝食を食べるように呼びかけている。それとも、TikTokersたちが朝からオートミール粥にロータスビスケットスプレッドやメープルシロップをどっぷりかけているから? オートミール粥が健康にいいか悪いかを判断するには、オートミールそのものではなく、なにをトッピングするかにかかっている。

いずれにしても、事実をはっきりさせるときが来た!

オートミールは健康にいい?

woman having healthy breakfast
Luis Alvarez//Getty Images

簡単に答えるとイエス。

「全粒穀物は健康にいいです。オーツ麦も例外ではありません」と話すのは、パーソナライズされた栄養改善アドバイスのスタートアップ企業「ZOE」の主任管理栄養士で『Recipes for a Better Menopause』を著書に持つフェデリカ・アマティ博士。

また、サプリメント販売会社「Revive Active」でブランドアンバサダーを務める栄養士であり作家のティナ・ロンド・コークも同意見。「ここで事実をはっきりさせるべきです。オーツ麦は、私たちの健康にとって、本当に素晴らしい食品です。水溶性食物繊維が豊富で、とくにβ-グルカンは悪玉コレステロール値を下げ、心臓病のリスクを減らしてくれます。ビタミン、ミネラル、マグネシウム、リン、マンガン、鉄などの抗酸化物質もバランスよく含まれています」

アマティ博士いわく、スティールカットオーツのオートミール粥(アメリカで“オートミール”と呼ばれるもの)を食べることは、温かくて栄養と食物繊維がたっぷりの朝食を楽しむために最適なメニュー。シードやナッツ、ナッツバター、新鮮なフルーツをトッピングして、植物と栄養素が豊かなオートミール粥を作るように提案している。

「ロールドオーツも栄養はありますが、より簡単に調理できるように加工がされているので、スティールカットオーツに比べると食物繊維が少なく、GI(食後血糖値の上昇を示す指標)が高くなります(血糖値により影響を与えやすくなる)」とアマティ博士。

「メープルシロップ風味のインスタントオートミールに関しては、栄養価の高い朝食というより、むしろデザートに近いものです。ほとんどの食べものに言えることですが、自分にとっていい食べものか悪い食べものかを決めるのは、あなたと食べもののクオリティーです」

覚えておくべきこと:あなたは「ユニークな存在」であることを忘れないでいよう。遺伝子、年齢、身体活動量、腸内に潜む細菌の種類、これらすべての要素があなたを形成している。みんな一人ひとりが違うので、食べものから受ける影響も人それぞれ違う。

オートミールはなぜ健康にいいの?

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Xvision//Getty Images

満腹感が持続する

「オートミールに含まれる食物繊維は真の満腹感と満足感を生み出してくれるので、食欲をコントロールしやすくなり、体重管理がラクになります。GI値が低いので血糖値の急激な乱高下を引き起こすこともなく、安定したエネルギーを維持することができる優秀な食材です」とロンド・コーク。

腸の健康をサポートする

「最小限に加工されたオーツブラン(通常のオーツ麦に比べてタンパク質と食物繊維の含有量が多く、カロリーも低い)は、体に栄養を満たし、気分を高めてくれるだけでなく、腸内細菌叢を増やして健康を維持するのにも役立ちます。オートミール粥に他の植物性食品を加えるととくにいいですね」とアマティ博士。

さらに、「オーツ麦に含まれるβ-グルカンがプレバイオティクスとして作用するため、腸内の有益な細菌をどんどん増やしてくれます」とロンド・コーク。「腸が健康であるほど、消化が良好になり、免疫が強くなり、規則的な排便習慣を保つことができるのです」

悪玉コレステロール値を下げる

「悪玉(LDL)コレステロールのケアに関しては、オーツ麦は心臓にとって小さなヒーロー的存在です」とロンド・コーク。

「オーツ麦を食べると、オーツ麦に含まれる水溶性食物繊維(ゲル状の物質)がスポンジのように作用し、悪玉コレステロールを捕え、血液に吸収されるのを防ぎます。このゲル状の物質はコレステロールを包み込み、それが排便の際に体外へ排泄するのを可能にするのです。血液に再び吸収されて、動脈内にプラークが蓄積されるのを阻止します。従ってオーツ麦は、悪玉コレステロールを下げるのに効果的で、心臓病のリスクを減らし、心臓の健康改善にも寄与します」

重要ポイント:どんな食べものも相対的であるため、ある食べものがいいか悪いかを一概に断定することはできないけれど、オートミール粥やオーバーナイトオーツは、バランスのとれた健康的な食事の一部として、栄養たっぷりの賢明な選択肢であることは間違いなし!
 
※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: ALICE BARRACLOUGH Translation : Yukie Kawabata

Headshot of Alice Barraclough
Alice Barraclough
Nutrition Editor

With nearly a decade of journalistic experience – in print, online and social – at national newspapers and lifestyle magazines, it’s fair to say Alice has tried it all when it comes to health and fitness. From packing herself off to an extreme Aveduric retreat in Sri Lanka and sweat-testing every new fitness fad to running the London Marathon and completing a 70.3 IronMan, Alice now looks after WH’s food content. With a ‘food first’ ethos, she is here to help you decipher exactly which foods will support your health, and which macro-counting, pasta-replacing, intermittent-fasting, 13-day cleanse is just, well, a scam. A keen baker and host, her favourite dessert has to be pavlova (with lots of summer berries and whipped cream, of course).

Headshot of 川畑 幸絵

短大卒業後バンクーバー、メルボルンで2年留学した後、外資系客室乗務員として勤務。2018年に退職後、翻訳者としてフリーランスに転身。アメリカで統合栄養学を学んだ経験もあり。