ダイエットをより効果的に行い、成功させるにはタイミングが肝心! では、いつ始めるのがベストなのか。生理周期からみたダイエットの最適な時期について、婦人科スポーツドクターの高尾美穂先生に伺った。筋トレ流行りの今、食事制限ではなく、トレーニングで筋肉量を増やすダイエットアプローチについても、必読!

【目次】

生理後から次の排卵日が狙い目!

ベストコンディションは生理直後という答えが集中する理由のひとつは、むくみが関係している。

「排卵後はプロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌されます。この時期は、体が水分などを溜め込もうとするため、生理前はむくみを感じやすくなります。生理が始まっても、脛が張るなど、むくみを感じる方も多いと思いますが、それは血液を失っているから。傷のかさぶたがはがれる時のように、妊娠の準備をしていた子宮内膜がはがれおち、出血するのです。お産後の女性もそうですが、体は体液を失った分、他の水分を取っておきたいと反応します。しかし、体内に入ってくる水分は、体液と比べると濃度がはるかに薄く、ここで濃度差があり、むくみの原因となります。つまり、そもそも体がむくんでいない期間は、生理後から次の排卵日まで、平均1週間、長くて10日間くらいしかありません。しかし、この時こそがランナーならば体が軽く感じられて走りやすい時期と言えます」

男性ホルモンから考えるコンディショニング

筋肉量を増やし、基礎代謝をアップさせるダイエットの場合、テストステロンの分泌を考慮するのもよさそうだ。テストステロンは、筋肉質な体を作るのに欠かせない男性ホルモンで、女性の体内でも分泌されている。

woman flexing biceps muscle
Malte Mueller//Getty Images

「女性の体内におけるテストステロンの濃度は、論文によって二つの見解に分かれています。ひとつは、生理周期は関係なくほとんど変わらないという見解。もうひとつは、生理直後に多少、多くなるという見解です。現時点でどちらが正しいか断定はできませんが、後者の意見がある以上、テストステロンが増えているかもしれない生理直後に、筋肉量を増やすトレーニングを頑張って、パフォーマンスを上げるという提案はできるかと思います」

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食事制限も運動でのダイエットも、むくみを感じない時期がおすすめだ。

「むくんでない時期が、数字としても、体感的にも変化を最も感じやすい時期! ここで、夕食の炭水化物の量を減らすなど、ダイエットを頑張ってみると成果が出やすいでしょう。ただ、たいてい生理前にリバウンドします。それは自然現象ですから、そういうものだと最初から思っておけば、リバンドしても落ち込まずにすみます」

生理直後がベストコンディションとは限らない

女性のコンディションを左右する生理周期。当然のことながら、ダイエットに最適なのは、コンディションがいい時期だ。

「国立スポーツ科学センター(JISS)の調査では、女性アスリートの約7割が、生理直後が最もコンディションがいいと回答しています。ただ、約1割の選手は生理中、生理周期は関係ないという選手も同じく1割ほどいるんです。調子が悪い時期を聞くと、生理前と生理中が各3割くらいずつ。コンディションのいい時は生理直後と答えは集中するけれども、感じ方は人それぞれ。まずは、生理サイクルの中で体調がいい時、悪い時がいつなのか、ご自身で把握することが大切です」

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高尾 美穂
産婦人科専門医・医学博士・婦人科スポーツドクター

女性のための統合ヘルスクリニック、イーク表参道副院長。文部科学省・国立スポーツ科学センターの女性アスリート育成・支援プロジェクトメンバー。一般社団法人アスリートヨガ事務局理事、ドームのアドバイザーリードクターも務める。内科・婦人科・乳腺などを中心にクリニックでは診察を担当し、女性の健康をサポート。マターナル(周産期)ヨガを始め、ヨガセッションも積極的に行っている。また、プロアスリートのメディカル・メンタルサポート、女性アスリートに向けた、医学的知識の提供などにも積極的に参加。webサイト http://www.mihotakao.jp/ イーク表参道 http://www.ihc.or.jp/

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Chie Arakawa
ウィメンズヘルス・シニアエディター

タレント・アスリートインタビュー・スポーツファッション・ウェルネス記事などを担当。女性誌FRaUでファッション・スポーツ・ダイエットなどの編集キャリアを積み、その後スポーツライフスタイルマガジンonyourmarkのプロデューサーとして在籍後、2022年までウィメンズヘルス編集部に在籍。