現在、遺伝子と体重の関係にはよくわかっていない点が多いので、自宅検査の結果が確かな根拠に基づいていないかもしれないというのが専門家の忠告。
「検査を受けた人に向けられている情報が正しいかや、どれだけ利益が得られるかが不透明という点では、まだまだ未開の地」とコールマイヤー博士は語る。
また、遺伝子だけが体重を左右するわけではなく、さまざまな因子があるのも事実。IFICのアリ・ウェブスター博士いわく、「スイッチを入れて解決できるような単純な問題ではない」とのこと。「DNA検査では生活習慣や、マイクロバイオーム(腸内に生息する細菌の集団)状態などを考慮していない結果が出る」とも付け加えた。
レアードはチーズを食べなくなったのが減量の理由だったと確信しているものの、それだけで体重が減るに至ったとは言えない。「身体が遺伝子レベルで飽和脂肪酸に悪い反応を出しているのかもしれませんが、他の因子も無視できません。」とウェブスター博士は言う。飽和脂肪酸の摂取量を減らし、低カロリー食品を代わりに食べても減量できる可能性がある。(例:サラダでは70カロリー相当のチェダーチーズ大さじ二杯ではなく、10カロリー相当の刻みオリーブを使うなど)
一方で、自宅遺伝子検査が健康への道を示す目印にならないわけでもない。コールマイヤー博士によれば、「だいたい道しるべだと思いましょう」とのこと。自分が特定の遺伝子を持っているのを知ることで、心臓を守るために運動量を増やしたり、慢性病のリスクを減らすために野菜や果物を多く食べるようにするなど、生活習慣を改善する兆しになるかもしれない。そして、結果的に減量するに至ることもあるだろう。
しかし、ウェブスター博士によれば、減量を第一に考えるなら専門家に相談するほうが確実らしい。2015年の臨床試験では、遺伝子を考慮したダイエット法と通常のダイエット法の実践結果は大差ないことが分かっている。また、「Academy of Nutrition and Dietetics」では、まだ食に関する相談で遺伝子検査を考慮するのは早いとしている。かかりつけ医や管理栄養士に過去の健康状態を参照してもらい、適当とみなされた場合に初めて脂質パネル検査や糖負荷試験、そしてDNA検査を受けることになるのだとか。「全体像を把握してから、減量計画を立てる手助けをしてくれるはずです」とウェブスター博士はいう。
※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。